真空について

2021.07.31

真空とは

「真空」とは単に圧力を示すものではなく、大気圧より低い圧力になっている特定空間の状態を示します。真空を利用したものでは魔法瓶、真空乾燥、凍結乾燥、フリーズドライ食品等身近にいくらでもあります。

魔法びん

イギリスのsir.James.Dewerが1908年真空を使って初めて作ったものである。

 

(1)真空の単位

通常使用される単位の換算表

Pa(N)m -2 Torr(mmHg) bar kg/cm 2 psi(lb/in 2 ) atm
 1  7.50062x10
 -3
 10 -5  1.01972x10
 -5
 1.45038x10 
 -4
 9.86923x10
 -6
 133.322  1  1.33322x10
 -3
 1.35951x10
 -3

 1.93368x10 
 -2

 1.31579x10
 -3
 10 5  750.062  1  1.01972  14.5038  0.98923
 9.80665x10 4  735.559  0.980665  1  14.2233  0.967841
 6.89476x10 3  51.7149  6.89476x10
 -2
 7.03070x10
 -2
 1  6.80460x10
 -2
 1.01325x10 5  760  1.01325  1.03323  14.6959  1
 9.79781x10 3  73.4896  9.79781x10
 -2
 9.99099x10
 -2
 1.42105  9.66969x10
 -2

(注)psi:pound per square inch

*真空の度合いは普通、圧力あるいは面積当たりにかかる力“Pa=パスカル”(SI単位 ) が用いられます。1Paは1cm 2 あたり0.01gの力です。
1気圧=760Torr=10.13万PaですのでTorrからPa換算するには133.3倍して下さい。

*TorrはTorricelliが初めて行ったとされる水銀柱の実験(1気圧=760mm)より定義されました。

 

(2)真空の範囲

低真空 :760−100−10−1
中真空 :1×10 -1  1×10 -2  1×10 -3
高真空 :1×10 -4  1×10 -5  1×10 -6
超高真空:1×10 -7  1×10 -8  1×10 -9  1×10 -10

(3)真空にすることの目的

a)酸化を防止して品物の品位を保持する。
b)分子の平均自由行路を長くし、目的とする粒子を通し易くする。
c)液相又は固相からの蒸発又は昇華を促進する。
d)大気圧との圧力差による力を利用する。
e)微細な組織内にあるものを引き出す。
f)空気の抵抗をなくする。
g)高純度、低圧のガス雰囲気をつくる。
h)高温で発生した酸化物、窒素物などを除去する。
i)固体表面を美しくして純粋な格子面をつくる。
j)高空又は大気圏外と同じような雰囲気をつくる。
k)低圧にして断熱効果をよくする。

(4)真空の作成手段

a)ポンプにて
b)補助手段
  @・コールドトラップ(水・冷凍機・ドライアイス+アセトン、液体窒素又は吸着剤)
   ・モレさがし
   ・ガス出し(イオンボンバード、加熱)

(5)真空の計測手段(真空計)

a)ブルドン管 760. 100. 10
b)水銀U字管マノメーター(液柱差真空計)100. 10. 1 1×10 -1  1×10 -2 せいぜい1mm位の読み取。
  133pa(1.Torr)
c)マクラウド真空計 1×10 -3  1×10 -4
d)ピラニー真空計(フィリップス)

(6)圧力に関する用語

圧力、到達圧力、背圧、動作背圧、許容背圧、分圧、全圧、蒸気圧、飽和蒸気圧、大気圧、ゲージ圧、絶対圧力、ミリメートル水銀柱

(7)真空の特質と利用方法

a)大気との間に圧力差ができ、その力を利用する。 電気掃除機、真空チャック、真空濾過、真空成型
b)酸素が少なくなるので、物質が酸化しない。
  ナイロン原料の製造、ペニシリンの乾燥、高純度金属の製造、金属熱処理
c)酸素が少なくなるので生物の発生、生長を防ぐ。 食品類の真空包装。
d)上にある空気がなくなるから、内部のガス(空気や水蒸気)が出易くなる。 真空脱泡、真空脱気、真空含浸
e)蒸発温度が低くても、蒸発速度が大きい。 真空蒸留、真空乾燥、真空蒸着
f)空気がないから気体やイオン、電子などが直進し、又分子同志、電子と分子の衝突が少ない。
  真空管、ブラウン管、加速器、真空蒸着など。
g)真空中では熱が伝わりにくい。 マホー瓶などの真空断熱、ヘリウムなどによる物性の研究
h)地球の大気圏外と同じような雰囲気になる。 宇宙室、低圧訓練装置など
i)他の純粋な気体と入れかえることができる。 アルゴンガスを電球に入れる。
j)空気が少ないから空気と運動体との間の摩擦が少なくなる。 重力加速度の実験
k)酸素、窒素が少ないので光線の吸収が少ない。 分光器による光学的実験

 

 

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