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液の粘度もポンプの性能に大きな影響を与えます。粘度を表す単位 にはストークス、センチストークス、ポイズ、レッドウッド秒、セイボルト秒など、色々の単位 が用いられていますが、通常センチストークスの単位が最も広く使用されます。清水は20℃のとき1センチストークスで、温度が下がれば若干粘度が大きく、上がれば小さくなります。
粘度によるポンプの性能の変化は、比重のようには簡単には表せませんが、10センチストークス程度以下であれば、ポンプの性能にはあまり大きな影響はないと考えてよく、100センチストークスでは重大な影響を生じます。(吐出量 、全揚程が減少し、ポンプの軸動力がいちじるしく大きくなる。)
500〜1000センチストークス以上では、一般のうず巻ポンプでは取扱い不能となります。また、水中ポンプは、ポンプと電動機とを直接連結しておりますので、定格軸動力をオーバーする高粘性液での使用はできません。
センチトークス(cst)をセンチポイズ(cp)に換算する時は比重を掛けて下さい。100センチストークスの液体の比重が0.9g/㎡である場合は、100×0.9=90センチポイズ(CP)となります。
1P=1dyn・ s/c?=1g/cm・s
固形物を含む液をポンプで送る場合も非常に多くなっています。たとえば、製紙工場におけるパルプ液、食品工場の澱粉液、化学工場における石灰乳液、セメント工場のセメント液等(非常にこまかく、よく水と混合されている液を泥漿〈デイショウ〉と呼んでいる)。また土木建築現場での泥水、砂採取の砂および砂利を多量に含む水、また化学工場で結晶体を含む液などです。
これらの液体の中の固形物は、ポンプに対してはまったくの厄介者で、ポンプは液中に対してはいろいろの力(圧力と運動のエネルギー)を加えますが、これらの固形物はその液体によって運ばれることになります。つまり、ポンプが液体に与えた力が固形物運搬のために浪費されることになるわけです。したがって、吐出量 は減少し効率も低下します。混合物が多ければ多いほど、それだけ悪くなります。(水と同じ吐出量 を得るためには所要動力が大きくなる。)。また、固形物の種類によっては、摩耗を考えなければならず、機種の選定に当たっては、ギヤーポンプ等は不向きとなります。材質の選定に当たってはゴムライニング等も検討し、インぺラーの構造の選定にもそれぞれの使用に適したものを選定しなければなりません。
ごく少量の混入物なら(水1?に対し、50g以下≒5%以下)水の場合の特性とほとんど変わらないと考えてよいでしょう。
多量の固形物を含む場合は、ある程度以上の流速がないと固形物が沈殿して流れず、つまってしまう恐れがありますので、限界沈澱流速以上の流速が必要です。
粒子を含む液のポンプを分類して、スラリーポンプ48メッシュ(0.3mm)以下(泥漿ポンプ)、サンドポンプ48メッシュ(0.3mm)〜4メッシュ(4.7mm)、ドレッジポンプ5mm以上の3つがあります。
スラリー最大輸送濃度表
輸送物 | 固形物比重 | 最大輸送濃度Wt% |
紙・パルプ | 約1.0 | 6 |
酸糖化モロミ | 約1.0 | 6 |
鶏卵殻 | 約1.0 | 6 |
ホップ粕 | 約1.0 | 6 |
微粉炭スラリー | 約1.5 | 70 |
粘土スラリー | 2.6 | 65 |
砂利スラリー | 2.65 | 60 |
鉱石スラリー | 4.6 | 65 |
陶土スラリー | 2.6 | 65 |
米・麦・だいず・ とうもろこし | - | 50 |
野菜 | - | 30 |
福神漬原料 | - | 50 |
みかん類 | - | 50 |
つぶし飴 | - | 55 |
てん菜糖チップ | - | 55 |
骨・臓物 | - | 30 |
し尿・下水 | - | 10 |
適用範囲
清水でのポンプ性能から微細スラリーでの性能に修正は下記のように行います。
修正方法
(1)グラフより、スラリー濃度(重量)%から修正係数q、eを読み取る。
(2)修正吐出し量:Q'=Q×q㎡/min
修正全揚程:H'=Hm
修正ポンプ効率:E'=E×e%
ただし、
Q:清水での吐出し量 ㎡/min
H:清水での全揚程m
E:清水でのポンプ効率%
(3)修正軸動力(kW)
大気中では水は100℃で沸騰しますが、ポンプ羽根車付近は強い吸引力によって、真空の状態になりますから、水は100℃にならなくても沸騰の現象を起こし小さい気泡を多数発生します。これをキャビテーションと言います。
右図は吸込管入口から羽根車までの圧力の状態を示したもので、吸込管入口ではフート弁などの損失で圧力は大気圧以下になり、吸込み水頭や摩耗抵抗による損失で圧力はさらに低下してポンプ内に入ります。そして羽根車付近では斜線を引いた部分の飽和蒸気圧力以下になると、この部分の水は蒸発して空どうが発生します。このキャビテーションによって発生した空どうは圧力の高い部分に吐出されてきたときに急激につぶされて、局部的に異常な振動・騒音を発生し、ポンプ性能を低下させるばかりでなく羽根車に侵食を起こし破壊させることもあります。
<キャビテーションを防止するための留意点 >
1.吸込揚程はできるだけ小さくする。
2.吸込管は太く短くして吸込損失水頭を小さくする。
3.揚水量の変化幅、揚程の変化幅が大きい場合は十分注意してポンプを選択する。
送水配管公配がへの字になっていたり、異径管の継ぎなどによって配管途中に空気溜りが生ずるとポンプが揚水不能になったりすることがあります。又水中ポンプの場合は、エアー抜きバルブが何らかの原因で閉塞した場合などポンプケージング内にエアー溜りができて揚水不能になる場合がありますのでポンプ運転最低水位 の設定や配管公配に十分留意してください。
管路内の流れを急に閉じると、管内の流体は圧縮されて圧力は著しく上昇します。また、静止している流体を急に流すと圧力が低下します。このように管路内の運転状態を急に変化させることによって生ずる異常な圧力現象をウォーターハンマー(水撃作用)といい、ポンプ運転には欠かせない留意点です。
ポンプ配管によるウォーターハンマーはポンプが急に停止したり急起動したりバルブの急閉・急開などの場合に起こります。
ウォーターハンマーによって生ずる異常な圧力上昇は音響を発し、弁、継手、管などを破壊することがあるので、管路の設計にあたっては十分に注意してください。
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