超音波洗浄機の原理、仕組みとは?特徴をふまえ選び方もご紹介!

2021.07.30

アズワンのカタログにも載っている超音波洗浄器。名前は知っている、研究室に置いてある、という方も多いと思いますが、この記事では「超音波洗浄にはどういう利点があるの?」、「どうやって選べばいいの?」、「汚れが落ちないけど、どうして?」といった疑問にお答えします。

超音波洗浄器の仕組みとは??

超音波を利用して汚れを落とす機器、それが超音波洗浄器です。
以前は工場や研究用として使用されていることがほとんどでしたが、近年はホームセンターやインターネットなどで一般市場向けにメガネ洗浄器や入れ歯洗浄器として販売されていますので、一度は目にしたことがある人も多いと思います。

超音波というと難しく聞こえるかもしれませんが、水槽に振動子と呼ばれる振動体が付いていて、電気を流すとそれが伸縮を繰り返しブルブル震えることで水槽内の液体に数十kHzもの超音波を発生させます。これを利用して汚れを落とします。
ではなぜ超音波で汚れが落ちるのか??超音波洗浄の原理というのはまだすべて解明されていないとも言われており、そのメカニズムは複数ありますが、汚れを取る大きな要因の一つがキャビテーションによる衝撃波です。キャビテーションとは、超音波により液体中にできる真空に近い無数の泡のことであり、その泡が押し潰された際に生じる衝撃波で汚れを弾き飛ばします。この威力は非常に強く、アルミ箔に穴を開けるほどで、超音波洗浄器の中に手を入れるとピリピリと痛みを感じたり、痺れたような感覚になったりします。

超音波洗浄の特徴 ふつうの洗浄方法とどう違う??

超音波洗浄器には従来の洗浄方法とは異なる多くの特長があります。
例えば、複雑な形状をしたもの、小さくて洗いにくいもの、内部までブラシが入らないものなど、従来は洗いたくても洗えなかったものや、人の手で洗うのは困難なものも、超音波洗浄器であれば浸けるだけで汚れを落とすことができます。
さらに、非常に短時間で汚れを落とすことができるのも大きな特長です。何時間も浸け置きして取るような頑固な汚れでも5~10分程度で簡単に落とすことも可能です。

「キャビテーションの原理」

「周波数が低い=洗浄力が強い」!『水槽容量』『周波数』で選定

購入時にはどの機種を選べばいいのか迷うこともあると思います。洗浄効果は周波数、液体の量や種類、温度、水槽の大きさ、洗浄物の多さ等、多くの要素で変わりますが、次の2つの要素で選ぶことをおすすめします。
まず第一に洗浄物の量によって必要な水槽容量を決めてください。容量数百mlの小型タイプから60Lを超えるような大型タイプまで数多くの種類があります。
次に周波数を決めます。先ほどのキャビテーションによる衝撃波というのは周波数によって異なり、周波数が低いほど衝撃波による力が強くなるため頑固な汚れを落とす際には有効です(一般的には28kHz程度)。逆に、傷が付きやすいようなものを洗浄する場合には周波数の高い製品を選ぶ方が無難です(通常は40kHz前後の製品が多く、中には100kHz近い製品もあります)。もし洗浄物が複数あるような場合は、2種類の周波数を切り替えて使用できる二周波タイプを選定すると効果的です。
他にも本体の材質(樹脂・金属)やヒーター、脱気、プログラム等の機能が付いている機種もありますので、用途や目的に応じて選定してください。

2種類の周波数を簡単に切り替えられる超音波洗浄器(3-6747-**)

よくある間違いや注意など

超音波洗浄器を使用する際の注意点をいくつか紹介します。
●洗浄物に注意
一般的に腕時計が洗えると言われますが、洗える部分は金属ベルト部分です。本体は防水タイプでも洗浄はできません(振動により内部に水が浸入したり、内部部品に異常を生じさせる恐れがあります)。また、表面硬度が柔らかい宝石類も傷が付くため洗浄は避けてください。
●洗浄ムラに注意
洗浄物を丸ごと洗えるため均一に洗浄されているように見えますが、その特性上、強く洗浄される部分と弱く洗浄される部分(いわゆる洗浄ムラ)が多少出てきます。汚れが落ちていないなと感じたら、洗浄物の位置を変えることで解決するかもしれません。
●水槽の消耗に注意
キャビテーションの影響により、水槽底面は徐々に摩耗していきます。これは正しく使用していても発生するものですので、摩耗がひどくなってきた場合は買い替えの検討も必要になってきます。

以下リンクより、アズワン株式会社が運営するECサイト「AXEL」にて
取り扱いの研究用超音波洗浄機を検索することができます。
記事とあわせて選定の参考にしていただければ幸いです。


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