【新人CE必見!】体内から水分を取り出す方法とは?人工透析装置の除水のメカニズム

2024.05.29

みなさんこんにちは!CEなかむーです!

今回は人工透析治療で使用されている透析装置がいったいどのようなメカニズムによって、人間の体内から除水を可能にしているのか深堀していこうと思います。それではどうぞご覧ください!

透析患者監視装置とは?除水ポンプの特徴 

人工透析治療では「人工透析患者監視装置」と呼ばれる専用の医療機器で治療を行います。透析治療中は血液を体外に導出し、血液回路内を通り、人工腎臓を介して血液を浄化し、体内に再び戻しています。この治療は体内を浄化することが短時間では効果が出ないため、主に45時間かけ、週に3回治療を行うことが一般的です。

 

透析装置の特徴には以下のようなものがあります。

 

・体内の電解質を調整するための透析液の供給と排液

・体内から水分を除去するための精密な除水機構

・透析中の血液回路の状況や患者状態の監視(回路内圧、血圧等)

・血液回路から血液中への抗凝固剤の投与

・透析液の加温

 

どれも透析治療には欠かせない機能なのですが、特に重要な機能として除水機構があげられます。透析装置の除水は、主に「限外濾過」という方法で行われます。限外濾過とは、半透膜で隔てられた一方の液面に圧力を加えると、水の分子が限外濾過により、もう一方の水溶液中へ移動する現象を指します。血液透析では、血液側から透析液側に圧力がかかっていて、血液中の水分が押し出されて、体内にたまった水分を除去しています。この場合、半透膜は人工腎臓(ダイアライザー)のことを指します。具体的には、透析装置には「除水ポンプ」が搭載されており、このポンプが前後に動くことで除水を行います。この前後運動する機械的な部分を「プランジャ」といい、前後運動することによって回転数が上がり、除水量が増える仕組みとなっていて、水分の吸入・吐出を繰り返しています。

透析装置の除水ポンプは、その名の通り、患者さんの血液から余分な水分を除去するためのポンプです。その原理や仕組みについては以下の通りです。

 

  • プランジャの動き:除水ポンプの仕組みは、「プランジャ」と呼ばれる部品が前後に動くことで除水を行っています。具体的には「プランジャ」が前後運動することによって、水分の吸入・吐出を繰り返しています。プランジャ」の回転数が上がると、除水量が増える仕組みとなっています。
  • 閉鎖式容量制御方式:透析装置では「閉鎖式容量制御方式」という方法で正確な除水制御を行っています。これは、透析液側を完全な1つの箱:「密閉系」と考えて、透析液の供給と排液のバランスを保っているということです。そして、この密閉系の戻り口から、設定された除水量分だけ除水ポンプによって密閉系の外へと透析液を引っ張り出しています。この、除水ポンプで引っ張り出した分が除水量となります。
  • 限外濾過:透析液側に除水ポンプによって陰圧をかけることで強制的に圧力差を発生させ、血液から除水を行っています。圧力差にしたがって、血液中の水分子が血液側から透析液側へと強制的に移動します。

 

以上のような仕組みで、透析装置は精度の高い除水を行っています

 

透析液供給:複式ポンプ方式とビスカスチャンバー方式


除水ポンプと同様にもっとも大切な透析装置の機能として外せないのが透析液を供給する機構です。複式ポンプ方式は、透析装置における重要な機能の一つで、ダイアライザーへの新鮮な透析液の供給と使用済み透析液の排出を同時に行う仕組みです。具体的には、複式ポンプは二つの同じ容量の部屋(シリンダ)を持ち、一つのモーターでプランジャ(白い陶器のような物)を左右に動かすことで、新鮮な透析液を供給する一方で使用済みの透析液を排液しています。

 

 

この複式ポンプの一方のシリンダに充填された透析液は、プランジャにより押し出されてダイアライザーに供給されます。これと同時に、もう片方のシリンダには、ダイアライザーからの透析液が吸引されます。

 

このシリンダ内は同じ容量ですので、ダイアライザーに給液する透析液と、ダイアライザーから排液する透析液は同じ量に制御されます。このようにして、ダイアライザーに給液と排液される透析液の量を一定にして密閉状態をつくっています。除水を行う場合、ダイアライザーからの使用済み透析液は複式ポンプで送られた新鮮透析液量+除水ポンプで引き込んだ量となります。このように、複式ポンプ方式は、ダイアライザーへの透析液の供給と排液を同時に行い、除水を高精度に制御するための重要な仕組みとなっています。また、除水ポンプの1ストロークがポンプLotごとに微妙に違っていて、1ストローク=0.768mlだったり、0.770mlだったりと精密なコントロールが必要とされます。このポンプごとの補正も透析装置側で行っていたりします。

 

複式ポンプ方式は除水ポンプで除水する

 

ビスカスチャンバー方式は、透析装置における除水制御の一つで、ダイアライザーへの透析液の供給と使用済み透析液の排出を同時に行う仕組みです。ビスカスとは、流体の粘性を利用したクラッチの一種で、特に高粘度のシリコンオイルのせん断(剪断)抵抗を利用したものを指します。

ビスカスチャンバー方式

 

除水するときにはビスカスが移動する

 

具体的には、ビスカスチャンバー方式では、ビスカスチャンバーAとビスカスチャンバーBがあり、一方が充填・排液工程のとき、他方がダイアライザー通液工程を担当し、30秒ごとに交互にそれを繰り返すため、ダイアライザーに常に一定の透析液が流れ続けることができます。ビスカスチャンバーABのビスカス室はビスカスポンプによりつながっており、中のシリコンオイルを出したり入れたりすることができます。通液工程において、ビスカスポンプにてビスカスオイルの容量を変化させると変化した分だけ密閉回路に陰圧が発生し、ダイアライザーの血液から除水することができます。これを「密閉容量差制御方式」と呼び、ビスカスチャンバー方式には複式ポンプ方式のような除水ポンプはありません。

 

以上のような仕組みで、ビスカスチャンバー方式は、ダイアライザーへの透析液の供給と排液を同時に行い、除水を高精度に制御するための重要な仕組みとなっています。

 

いかがでしたか?今回は透析装置の仕組みについて深堀してみました!臨床工学技士はこういった装置のメンテナンスも技術講習会等に参加していて、病院やクリニックの透析装置が安全に使用できるよう積極的に装置の分解や消耗部品の交換などもしています。次回も臨床工学技士のことについて深堀していきましょう!

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【著者紹介】なかむー(中村 隆志・なかむら たかし)

熊本総合医療福祉学院(現:熊本総合医療リハビリテーション学院)出身
臨床工学技士のフリーランスCE-WORKS 代表
慢性期血液浄化療法からロボット手術まで幅広く臨床工学技士業務従事。
18年の臨床工学技士経験をもとに令和3年4月に国内でもあまり事例がない臨床に携わる
フリーランス臨床工学技士として業務に従事。
病院の「外」でも働ける臨床工学技士の仕事創りに取り組んでいます。
将来の夢は臨床工学技士人材だけで会社を創ること!

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