ADHDという発達障害を正しく理解しよう

2024.01.09

近年、発達障害という言葉を聞く機会が多くなってきたと思います。また、それに対する配慮や理解も進んできています。しかし、発達障害の中でもなかなか理解が進まずに当事者たちが苦労しているのがADHD(注意欠如・多動症)だと感じています。今回はADHDの「できる、できない」に注目して理解を深めていきましょう。

発達障害、ADHDとは

 まずは発達障害全般についてですが、発達が部分的に障害を受けていることによってできること、できないことがアンバランスであるという形で説明することができます。自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)の3つが有名な発達障害で、いずれの発達障害においても「発達段階において障害を受けている」ことが基本ですので、小さいころからその症状があったことが診断基準になります。今回はこの中のADHDにフォーカスを当てて説明していきましょう。

 ADHDは注意欠如型のADDと多動・衝動性型のHDに分けられます。その総称をADHDとしています。ADDでは遅刻、忘れ物、たびたび物を無くす、片付けができないなどの症状がみられます。HDでは突発的に体が動いてしまう、ルールを守れないなどの症状がみられます。その他にも多くの特性がありますが、時間のある方は参考文献を参照していただけたら幸いです。[※1]

 そして、これらの原因は完全に解明されていないのですが、神経物質の過剰活動によるものだと研究結果があります。ですので、これらは努力や学習などで習得できるものではない、できるとしてもとても困難が伴うものだと理解することがとても大切です。[※2]

ADHDの当事者が生きる上で困ること

「できないことを社会から求められている」ことが当事者が生きる上で最も困っていることです。

まず、発達障害は「当事者の苦手なこと・出来ないことが、今ある社会の常識にそぐわないこと」で障害とされていることを知ってほしいと思います。できなくても、それが生きる上で特に困らなければ通常障害とは診断されません。先にあげたADHDの症状の中でも遅刻・忘れ物をするといった症状は社会にそぐわないために障害として扱われたものといえるでしょう。これらは当事者を大いに苦しめています。

 さらに発達障害全般は二次障害に注意しなければなりません。二次障害とは主症状に対する叱責や不適応を感じることで引き起こされる障害ですが、端的に言うとADHDの場合は学校や職場などでできないことを叱責されることで引き起こされる鬱などが挙げられます。「遅刻、忘れ物」などの症状は「努力で治せるもの」と扱われがちで、これができないことが社会不適応といわれることが多々あります。当事者からすると、周りの人たちができることがどう頑張ってもできないこと、どうしてもできないことで叱られ続けることにより、自尊心の低下から抑うつ状態を呈することがあります。

ADHDと診断されたら、どうすればいい?

 まず、ADHDの根治は難しいということはご理解ください。というのも、一時「発達障害は個性」という形でまとめられていたように、それぞれが持つ個性、特性によるものです。個性を治す、というのが難しい以上ADHDを治療するのは難しいといわれています。ですが、その原因となる「神経物質の過剰活動」を抑える薬はあります。投薬治療では、この神経物質の活動に働きかけることによって多動などの症状を抑えることができます。

 また、ADHDの当事者の方々が困っているのは「自分の特性」と「特性と社会が嚙み合わない」ことにあるので、それらを生きやすくする調整をすることが一番の解決策につながるのではないかと思います。例えば、忘れ物が多いことに関しては最近ではAirTagに代表されるような、物をなくすことに対するグッズなどが多く存在します。また、どうしても難しいことは他者に協力してもらうなどの方法で解決できる場合もあります。社会との嚙み合いが悪い場合、その特性が邪魔しない働き方を選ぶ方法もあります。遅刻してしまう場合は、フレックスタイムを導入している会社で働く、など選べれば本人の生きやすさが少し改善されるかもしれません。

まとめ

 今回はADHDの理解というところを中心に解説していきました。ポイントはできないことは努力不足ではないこと、生きる環境を最適化することで自分に対する負担を減らすことです。最後まで見ていただきありがとうございました。

参考文献等

※1 注意欠如・多動症の理解 (本文へ戻る)

※2 注意欠如多動症ADHDが示す「落ち着きのなさ」の再考 (本文へ戻る)

 

永⽥ 良介(ながた りょうすけ)

保育⼠、社会福祉⼠、精神保健福祉⼠。
主に、児童期における精神的な悩みや疾患などを主に取り扱う実践家。