受験シーズン到来!「臨床工学技士」の受験事情と就職事情とは?

2023.12.08

みなさんこんにちは!CEなかむーです!

今回は受験シーズンも近くなってきたので臨床工学技士の資格を取るために必要な道のりについて書いていこうと思います。

毎年この時期になると学生さんたちは自身の進路に悩むことも多いと思いますが、進路に悩んでいる学生さん、臨床工学技士に興味がある社会人の方にも読みやすい記事にしていこうと思います。それではどうぞご覧ください!

 

臨床工学技士になるためには?

臨床工学技士という資格で病院やメーカーで仕事を手にし、働くためにはいくつか条件があります。1つは臨床工学技士という国家資格を取得すること、2つめにその臨床工学技士国家試験を受験するための受験資格を得るために、学校に通うことです。一言で学校に通うと言っても、臨床工学学科のある専門学校、臨床工学学部のある大学、単位を履修できる短大などがあり、受験資格を得る方法は多岐にわたっています。

 

以下に臨床工学技士国家試験の受験資格を載せてみました。

  • 大学に入学する資格のある者で、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所において3年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの
  • 大学、高等専門学校又は厚生労働省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所において2年(高等専門学校にあっては5年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者で、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所において、1年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの
  • 大学、高等専門学校又は厚生労働省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所において1年(高等専門学校にあっては4年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者で、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所において、2年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの

  • 大学(短期大学を除く)で厚生労働大臣が指定する科目を修めて卒業した者

 

国家試験の流れ

 

ちょっと難しい表現のところもありますが、基本的には厚生労働大臣・文部科学大臣または都道府県知事が指定した臨床工学技士養成校(専門学校や大学)で臨床工学技士になるためのカリキュラムを履修した者に受験資格が与えられます。

医療系国家資格(看護師や臨床検査技師など)をすでに取得している人は1年程度の専攻科を修了することで受験資格が得られます。

 

カリキュラム自体は昭和 63 年の臨床工学技士の資格創設時に教育科目と各時間数が定められ、平成16 年に規定の変更、その後も単位制の導入などが行われてきました。

そして、最近のトピックスとしては2021年に「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が公布され、臨床工学技士法の改正により業務範囲が追加されましたので、カリキュラム自体も時代の流れにあったもので変化してきています。改正臨床工学技士法については今後また記事を書いていこうと思います。

 

さて、受験資格を得るために学校に通うことはお分かりいただけたことと思いますが、どこの専門学校がいいとかどこの大学がいいのかと悩んでしまうと思います。

どの学校にも教育方法や実習方法に特色があり、手厚い講師陣の教育サポート体制や実習風景などが学校ホームページにも掲載されています。講師の方々は臨床工学技士として現場で働いてきた方々も多く、「臨床工学技士」の有資格者であることが多いです。

オープンキャンパスなどを行っている学校もあり、人工透析装置や人工呼吸器、人工心肺装置など実際の病院で使用している医療機器にも触れられるので、一度学校見学に行くことをオススメいたします。

 

私が高校生の時に進路を選択した当時、九州にはまだ臨床工学技士養成校は熊本と大分の専門学校2校しかありませんでした。現在には15校の養成校があり、全国的に見ても進路の幅や学部が設置してある大学などが増えてきています。

臨床工学技士国家試験の内容とは?

臨床工学技士国家試験の内容は例年同じ領域から出題されています。医学に関する基本的な知識の習得はもちろんなのですが、他の医療職種にはない特徴として工学系の科目が多いことです。臨床工学技士の業務には医療機器の操作や点検なども含まれているため、工学的な知識が必須です。

特に電子工学や電気工学など電気が生体に及ぼす影響などを熟知したうえで、医療機器を取り扱う必要もあるためそれらを学ぶことが非常に大事になっていると思います。工業高校から臨床工学技士養成校へ進学する方も多く、中には電気工事士などの工学系有資格所がいることも珍しくありません。

 

実際働いている現場でも、医療機器の保守や点検業務は非常に幅広い医療機器を取り扱うことも多く、工学的な知識や技術は必須です。

 

以下に試験科目について示します。

試験科目

医学概論(公衆衛生学、人の構造および機能、病理学概論及び関係法規を含む。)
臨床医学総論(臨床生理学、臨床生化学、臨床免疫学及び臨床薬理学を含む。)
医用電気電子工学(情報処理工学を含む。)
医用機械工学
生体物性材料工学
生体機能代行装置学
医用治療機器学
生体計測装置学
医用機器安全管理学

 

解剖学や薬理学、病理学といった医療的な基礎科目はもちろん医用機械工学や生体機能代行装置学など臨床工学技士ならではの医療に特化した工学系専門科目もたくさんあります。出題範囲は上記のようになり、回答方法としては五者選択方式での回答になります。文章記述などの回答はなく、試験時間は午前午後の2部で構成されています。

試験日は例年3月の第1日曜日で試験会場は北海道、東京、大阪、福岡の4会場のみです。他県からの参加の場合は一番近い会場を出願時に選択して受験しに行くことになります。

 

 

ここだけは押さえてほしい!国家試験対策

臨床工学技士の国家試験は試験科目の範囲があらかじめ設定されているのでどの部分を集中的に行うか対策をある程度立てることができます。毎年予想問題集なども発売されているのでそれらを駆使して「問題慣れ」しておくことも重要だと思います。

 

試験内容自体は基礎的な学力を問うもの、医療的な基礎知識を問うものが多く、あまりひねってあるような問題はありません。しかし、その年の流行を取り入れたトピックス問題も出題されるので医療業界のニュースや臨床工学技士に関連するニュースなどは常日頃から意識して情報収集する必要があるかもしれません。

 

一番大事なのは「基礎」です。医療に関する言葉の意味やなぜその病気になってその治療が必要なのか?どの医療デバイスを用いると効率よく治療ができるのか?根拠をもって学習を進めるといいかなと思います。根拠のない学習はあまり意味のあるものとは言えないかもしれません。

 

私は学生時代に寮生活だったのですが、代々臨床工学技士卒業生から受け継がれてきた秘伝の「過去問集」などがあり、国家試験対策として毎日毎日ひたすら多くの問題を解いてきた記憶がうっすらあります。今思えば根拠を語る以前に試験に受かる勉強しかしていなかったと実は後悔しています。

 

臨床工学技士の就職先は?

やはり圧倒的に就職先として多いのは大学病院や民間病院といった病院施設が多いのでないかと思います。特に大学病院や民間の急性期病院などは業務の幅や取り扱う医療機器の数も多く、最先端医療を学べるということもありとても人気があります。ドクターヘリがある病院や手術室がいくつもあるような病院で臨床工学技士として働くということは学生にとっても憧れる姿かもしれません。

 

これはあまり知られていないかもしれませんが、実は専門学校の就職活動は国家資格取得前から始まっています。専門学校に求人票が来ることも多く、臨床工学技士有資格者の卒業生も求人検索に訪れることもあります。

実習などでお世話になった施設から「うちに来ないか?」とスカウトされることもよくある話なのですが、臨床工学技士国家試験を受験し、合格するまでは「国家資格取得見込み」として就職活動をしています。早々と就職先が見つかることはとてもうれしいものなのですが、国家資格を取得しないともちろん臨床工学技士として働くことはできません。就職先がみつかった3年生は是が非でも「必ず国家試験に合格しなければいけない」という地獄のプレッシャーと向き合いながら、日々試験勉強に取り組むことになります。

 

病院へ就職することも多いのですが、医療機器の開発や販売を行っているメーカー求人も多く、中には外資系医療機器メーカーなどの求人もあったりするので、医療機器の開発に興味がある方はメーカーへと就職することもあります。

 

いかがでしたか?

臨床工学技士の資格取得には多くの壁がありますが、ひとつひとつ乗り越えることで夢がかなっていきます。これから受験シーズンに本格的に入りますが、臨床工学技士を目指している学生さんたちも体調管理に気を付けながら精一杯がんばってくださいね!次回も臨床工学技士のお仕事について深堀していきます!

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【著者紹介】なかむー(中村 隆志・なかむら たかし)

熊本総合医療福祉学院(現:熊本総合医療リハビリテーション学院)出身
臨床工学技士のフリーランスCE-WORKS 代表
慢性期血液浄化療法からロボット手術まで幅広く臨床工学技士業務従事。
18年の臨床工学技士経験をもとに令和3年4月に国内でもあまり事例がない臨床に携わる
フリーランス臨床工学技士として業務に従事。
病院の「外」でも働ける臨床工学技士の仕事創りに取り組んでいます。
将来の夢は臨床工学技士人材だけで会社を創ること!

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