どんな生き物に転生したら楽して生きられる!? ワクワク生き物ライフ!

2023.12.04

楽をして生きていきたい。できるだけ楽に。

そんなことを一度でも考えたことがある皆様、お待たせしました。

来る日も来る日も別の生き物に転生したいなぁと考えている筆者がついにたどり着いた、転生するならこの生物にしろベスト3を発表したいと思います。

 

もちろんメリットデメリットあるので、そこはご自身で天秤にかけていただき、本当に転生するか否かは自己責任でご判断ください。

では早速、転生すべき生き物を3位から発表していきます!

 

第3位:マルカメムシ

栄光の第3位はこいつだ!

 

第3位はこちら!マルカメムシに転生してみよう!です。

 

マルカメムシというのは、その名の通り丸くて可愛いカメムシです。この可愛さだけでも転生したくなっちゃいますが、この子のすごいところはそれだけではありません。メリットもデメリットもしっかり吟味して、マルカメムシライフを謳歌してください。

 

■メリット1:クズの汁だけ吸っておけば何もいらない。

クズの汁を吸う・・・字面で見るとものすごく怠惰な感じがしますが、これは相当なメリットです。何せ、晩飯のメニューをわざわざ考えたりする必要がありません。クズというのは「葛」とも書く、マメ科の植物です。葛餅の原料でもあります。

 

ちなみに、汁を吸うのは別にクズじゃなくても大豆とかでも大丈夫です。クズや大豆が生えているだけで、食事のことを考えずにずっと好きなことをやっていられます。クズは全国そこらじゅうに生えているので、食費も0円。
マルカメムシになれば、好きなことだけやって生きていくことも夢物語ではありません。

 

■メリット2:嫌われ者のクズをやっつけるので有り難がられる。

クズは特にアメリカで嫌われ者です。

どのくらい嫌われているかというと、「アメリカ合衆国におけるクズ」というWikipediaの個別記事が、英語版でも「Kudzu in the United States」という個別記事が存在するくらいには嫌われています。

なので、マルカメムシに転生してアメリカに行けば、クズの汁を吸って弱らせることができる英雄として迎え入れられる可能性があります。アベンジャーズの一員になるかもしれません。

 

■メリット3:丸くてツルツルしててかわいい。

有無を言わさぬ見た目の可愛さ。ツルツルしてて、てんとう虫みたい。うまくやれば人気者になることができそうなポテンシャルを持っています。

ゆるキャラとして人気を博せば莫大な利益を生み出すことができるかもしれません。

 

・・え?じゃあてんとう虫に転生すれば良い?それは言わない約束でお願いします。

 

そして、良いことばかりでもないマルカメムシライフ。ここからはデメリットのコーナーです。

■デメリット1:お母さんの肛門から出た黒いカプセルを吸い取らないといけない

マルカメムシとして生きていくには、お母さんの肛門から出た黒いカプセルの中身を吸い取らなければ生きていくことができません。

心理的な抵抗が大きいと思いますが、これを突破しないと渡米しても英雄になれません。

 

そもそも、カメムシがクズの汁を吸うだけで生きるのに十分な栄養が得られるのは、腸内に共生細菌がいるからです。この共生細菌がクズの汁からマルカメムシに必要なアミノ酸等の栄養を作り出しています。

でも、卵から生まれたての状態だと共生細菌が腸内に存在しないので、どこかから調達する必要があります。

 


Youtube等で「マルカメムシ 産卵」といったキーワードで調べるとわかりますが、マルカメムシのお母さんは、白い卵を2~3個産むごとに、肛門から黒い卵状の物体を産みつけます。

この黒い卵状の物体が、腸内細菌を閉じ込めているカプセルの役割を担っており、孵化してすぐにこのカプセルををチューチューと吸わないと生きていけません。

 

吸わないとどうなるのかというと、衰弱して死んでしまうか、多少育ってもうまく成長できず不妊になってしまいます。

コアラ等も、生まれてすぐは同様の目的で母親の糞を食べますから、それと同じです。

でもコアラは丸くてツルツルしていないので、マルカメムシの方がいいですよね?

 

■デメリット2:農業害虫なので嫌われている

大豆をはじめとするマメ科の汁を吸うので、害虫として嫌われています。これはしょうがありません。荒地などに生えているクズを積極的に食べていって、文字通り草の根活動で市民のマインドを変えていくしかないでしょう。

 

■デメリット3:臭いので不快害虫でもある

カメムシなので、臭いです。

こればっかりはどうしようもありません。カメムシに転生したことを呪ってください。


第2位:サンゴ


次の生き物は、お母さんの肛門から出た黒いカプセルを吸い取る必要はありません。臭くもありません。嫌われてもいない。最高じゃないですか。

「あー俺も光合成できたら日向ぼっこするだけで生きていけるのに」とか考えたことありませんか?

 

そんなあなたはサンゴに転生するのがおすすめです!

 

■メリット1:光合成で栄養を得ている

サンゴは動物で、イソギンチャクなどと同じ刺胞動物門の花虫綱かちゅうこうというグループに属しています。

サンゴ自体が光合成できるわけではないのですが、サンゴが細胞内に住まわせている褐虫藻かっちゅうそうという藻類そうるいの仲間で植物プランクトンみたいなやつが光合成してくれます。

 

この褐虫藻が光合成することによって作り出すグリセリンなどの有機物を貰い受けることができるので、実質光合成しているも同然です。

 

■メリット2:排泄物もリサイクルするのでエコ

光合成できる褐虫藻を共生させているからといって、全く何も食べないというわけではありません。サンゴを構成するサンゴ虫は、触手で水中の動物プランクトンを捕まえて食べています。

 

食べるということは、排泄もする。サンゴはその排泄物に含まれるリンとか窒素といった栄養分を褐虫藻に分けてあげるというエコなことをしています。

 

珊瑚礁があるような熱帯の海をイメージすると、青く透き通った海が想起されますが、透明度が高いということは栄養分が海中に全然無いということになります。

 

そんな透明度の高く栄養素の少ない海中は、通常だと藻類が育つのに必要なリンや窒素が不足してしまいます。
そのため、そんな環境で生きる褐虫藻にとって、サンゴの排泄物はめちゃめちゃありがたい存在なのです。


サンゴに転生すれば、自己紹介で「私はエコです」と言えるので、みんなの人気者になれるでしょう。

 

■メリット3:綺麗で素敵

サンゴやそれらが構成する珊瑚礁はとてもカラフルで綺麗で、世界中の人気者です。南国の海で日向ぼっこしているだけで、世界中の観光客がいっぱいやってきて笑顔になってくれます。

サンゴに転生するって、とっても幸せなことなんです。

 

そんな幸せサンゴライフにも、実はデメリットがあります。

 

■デメリット1:温度変化に弱くすぐ死んでしまう

メリットでも語った褐虫藻との共生ですが、それに依存しているということは、共生関係が崩れたら死んでしまうということを意味しています。

 

地球温暖化によって珊瑚礁で白化現象が起こり大変だ、と言うような話を聞いたことがあるかと思います。白化現象というのは、サンゴと共生していた褐虫藻が減少することで、サンゴの骨組みが透けて見えるようになり、結果白く見えてしまうという現象です。


白化現象の原因の一説としては、平均水温が上がることで褐虫藻の光合成が活性化しすぎるからではないかと言われています。

 

酸素が増えすぎることで活性酸素(酸化作用が強まっている酸素)も同様に増えるため、結果的に褐虫藻の存在がサンゴ虫にとって有毒な存在になってしまうのです。


そうなると、サンゴは褐虫藻を追い出したくなるし、褐虫藻だって細胞内に閉じ込められていると自ら活性酸素の餌食になるので海中に逃げ出したくなる。そうやって共生関係が崩れてしまっているのでは、という説です。

 

一般に白化が始まって2ヶ月程経っても元に戻らなければ、サンゴは死んでしまうと言われています。

 

■デメリット2:自力では移動できない

水温が高くなれば涼しいところに逃げればいいじゃない、と思うのですが、サンゴは移動ができません。固着性なのでしょうがないです。あきらめましょう。


ただ、もしサンゴに転生した場合、水槽にいれてもらえば他人の力を使って移動することはできます。水温には十分注意して、照明をガンガン照らして褐虫藻に共生関係を解除されないように頑張っていきましょう!

 

サンゴに転生することのデメリットは、このくらいではないでしょうか?マルカメムシと違ってデメリットは2つ。転生先にサンゴ、どうでしょう?

 

第1位:サツマハオリムシ

堂々の第1位・ハオリムシはこんな生き物(長いやつ)。この写真はハオリムシの一種。

 


楽をして生きていきたいあなたに朗報です。呼吸をするだけで生きていける生き物がいます。その名もサツマハオリムシです。

 

サツマハオリムシというのは、国内ですと鹿児島湾に主に住んでいる環形動物の仲間です。1997年と割と最近に新種登録されました。環形動物というのは一番身近な例で言うとミミズやゴカイの仲間です。

 

■メリット1:何も食べなくていい

こいつは何も食べなくていいです。もはや口がないです。消化管もないです。肛門もないです。本当に何も食べません、というか食べられません。このメリットだけでもうお腹いっぱいですね。

 

栄養はどうしているかというと、サツマハオリムシも共生細菌に頼ることで生きています。硫黄細菌と呼ばれる、硫化水素を使ってエネルギーや有機物を作り出す生物が存在し、この硫黄細菌に栄養を全て頼ることで生きているのです。

 

サツマハオリムシが呼吸を通じて硫化水素を体に取り入れ、それを共生している硫黄細菌が利用し必要な栄養を作り出しています。


硫化水素が必要なので、海中で火山性ガスが湧き出ているところや、熱水噴出孔のような場所に住んでいます。

 

■メリット2:切断されても再生できる

体長のほとんどを占める栄養体部と呼ばれる部分であれば、切断されても再生することができます。何も食べなくていいし、切断されても大丈夫。もはや無敵の生き物です。

 

■メリット3:生きる環境を整えるのが楽

水槽の中に海水を入れて、硫化ナトリウムを定期的に加えてもらうだけでどこでも生きていくことができます。

 

元々海底の熱水噴出孔近くに住むことができるので、サンゴのように水温にもそこまでうるさくなく、光も不要です。水槽から出なければ呼吸するだけでどこでも生きていくことができます。

 

羨ましい。

■デメリット:自力では動けない

デメリットは1個だけ。サンゴと同様、自力では動けません。そこは諦めてください。こんなに便利な体を手に入れたんですから。

…くらいじゃないですか?デメリット。すごい。サンゴよりデメリットが少ない!

 

いつ転生してもいいように備えておこう!

どれもこれも捨てがたい、魅力的な転生先の候補達だったかと思います。

 

これらの生き方を実現しているのは、いずれもそれ自身とは別の種の生き物と「共生」と呼ばれる関係を実現しているからになります。

 

気楽に別の生き物に転送できる仕組みや魔法が実現するのはもう少し先の未来になりそうですが、皆様も「転生するならどういう生き物がいいだろう」という目線で生き物たちを眺めると、また違った観点から生き物の面白さを発見することができるかもしれません。

 

ちなみに、筆者は慎重にメリットとデメリットを考えた結果、人間のままでやっていこうと決めました。

 

皆様なら、どんな生き物に転生しますか?

参考文献

『共生微生物からみた新しい進化学』 長谷川 政美

『カメムシの母が子に伝える共生細菌: 必須相利共生の多様性と進化』 細川 貴弘,辻 和希

鹿児島湾「たぎり」海底熱水活動およびサツマハオリムシ 化学合成生物群集生息環境の地球化学的研究.JAMSTEC深海研究 第19号.山中 寿朗,石橋 純一郎,中野 綾子,梅木 優子,橋本 惇

『ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学』本川 達雄

 

「ゆる生態学ラジオの生き物あっぱれ!」シリーズ

【著者紹介】よしのぶ

生き物が好きな人。オーディション企画「ゆる学徒ハウス」から誕生したYouTube及びPodcast番組「ゆる生態学ラジオ」に出演中。生き物の凄さ・可愛さ・面白さをゆるく楽しく紹介します。

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