ストレスとは?ストレスに強い心を手に入れるには?

2023.12.01

 現代社会において、ストレスは万病の元です。できるだけ、ストレスとは無縁の生活を送りたいと思う人は多いと思うのですが、実際ストレスに対する抵抗力を強くすることはできるのでしょうか?また、ストレスが人間にどの様な影響を与えるのか、見ていきましょう。

ストレスとは?

 まず、ストレスとはそもそも何なのかという定義から見ていきましょう。ストレスとは「外部から刺激を受けた時に生じる緊張状態」と一般的に定義されています。実は、自分にとって不快な刺激をストレスと認識している人が多いですが、本来のストレスとは悪い刺激だけでなく良い刺激もすべてがストレスとまとめられています。例えば、普段の生活の中で結婚や出産といったような人生において幸せと象徴されるような出来事も、外部からの刺激(色々な人の祝福や、環境が変化するという刺激)であるため、それによって緊張状態となるなら、これらも定義上ストレスになります。人は生活を営む上で、毎日何かしらのストレスがかかりうる可能性があります。それは対人関係だったり、自然現象だったり、コロナ感染症のようなものだったり、ありとあらゆるところにストレスの原因となるものは潜んでいます。

 このことに関しては、Holmes(ホームズ)らが発表した人生におけるイベント(ライフイベント)にかかるストレスを数値化した表があります。少し古いデータになるので今とは少し考え方が違う部分もありますが、参考にするとよいでしょう。ちなみに、この表の数値に関しては、直近1年間の間で起きたイベントの数値を足したものが200を超えると精神的な病気にかかる可能性が高くなると言われています。[※1]

ストレスが原因で起こる身体の不調

 それでは、ストレスは実際私達の身体にどの様な影響を及ぼすのでしょうか。実はストレスがかかることによって様々な病気にかかる可能性が高くなります。ストレスによって身体や精神がなにかしらの不調を訴えることをストレス反応といいます。

 まず、ストレスが継続してかかり続けると自律神経が乱れます。自律神経とは、リラックスと緊張状態のバランスを取るものなのですが、緊張状態が続くと自律神経が乱れて身体がリラックスをすることができなくなります。その結果、免疫物質であるIgAの分泌が減ってしまいます。免疫力が下がると、菌やウイルスに抵抗することができなくなってしまい、あらゆる病気にかかる可能性が高くなってしまいます。

 また、自律神経の乱れは他にも睡眠や精神状態に影響をもたらします。人は睡眠時に脳からリラックスをするような命令が出され、その結果睡眠に繋がり、睡眠自体が脳と体をリラックス状態にして回復していくのですが、自律神経が乱れ緊張状態が続くと安定した睡眠をとることができなくなります。このような状態が続くと心も身体も回復することができません。身体が回復しないと常時疲れているような状態になりますし、心が回復しないと常にネガティブな思考回路になってしまいます。それらが負債として積み重なると、ストレス反応として精神疾患などを発症するおそれが出てくるのです。眠りが浅い、眠れない、集中できない、なにかにイライラしているという症状が続いた場合は早めに生活の改善を行う事が望まれます。

ストレスに抵抗するには?

 では、ストレスによる心身の不調、ストレス反応を回避するにはどうしたら良いでしょうか?考え方は「ストレスを回避する」か「ストレスを受け流す」の2種類に大きく別れます。

 まずはストレスの回避の仕方です。自分の生活の中にあるストレスの要因をストレッサーといいますが、そのストレッサーをできるだけ排除することが望ましいです。例えば、自分にとってストレスと感じてしまう人間関係を遠ざけたり、仕事がストレスなのであれば転職をすることで物理的にストレッサーを回避することができます。この物理的回避によって、乱れた自律神経が少しずつ回復して心身の調子が良くなることがあります。

 ストレスを受け流すためには、そのストレッサーから受け取る情報の捉え方を変えることにより実現できます。これを認知行動療法といいます。普段の何気ない会話の中でも、相手の伝えたい意図がうまく伝わらず、ネガティブな捉え方をする癖がついてしまっている人がいます。この「ネガティブな捉え方をしてしまう」ことを認知の歪みと言います。例えば一緒に食事をしている夫婦が「今日のご飯美味しいね」という発言をした時「普段のご飯は美味しくないのか」と受け取ってしまう、などです。もちろん、相手はその様な意図があって発言したのかはわかりませんが、少なくとも受け取る側はその様な情報を受け取ってしまっています。ネガティブ思考はその人の思考の癖によるのですが、それ以外にも受け取り方はあり、その癖を改善することで今まで自分の考え方の癖によって受け取っていた余計なストレスを除去する方法がこれにあたります。

 認知行動療法については、基本的には精神科や心療内科などの医療機関としてカウンセリングとして心理士とともに行うものになりますが、勉強するとある程度は自分自身で行うことができます。端的に言うと、受け取り方の候補をいくつか挙げられるようにして、自分にとって都合の良い受け取り方をする、もしくは聞けるなら相手と対話をすることで意図を正確に受け取り、認知の歪みを修正していく事ができるのです。

 また、ストレス耐性は少しずつ習得することができます。さほど負担ではないストレスがかかった時に、それを自分の力で乗り越える事でストレスに強い精神力を手に入れることができます。これをストレスコーピングといいます。筋力トレーニングと同じようなものと考えてもらうと良いですね。この方法で大切なのは、自分が乗り越えられそうなストレスかどうかを見極めることです。筋力トレーニングでも、自分にとって負荷が高すぎるものを行っていると怪我をすることに繋がりますね。ストレスに関しても同じで、自分の今の健康状況をしっかりと見極めて、乗り越えられそうなストレスを克服する経験を積むことによって、ストレスに負けない精神力を手に入れられます。

最後に

ストレスは身体を緊張状態にし、それが免疫物質の低下につながること、また、睡眠に影響を及ぼすことで様々な不調に関係するものだと理解して下さい。そして、物理的に回避する、もしくは情報の受け取り方を変更することによって自分にかかるストレスを減らして、少しずつ調子を取り戻すことができます。しかし、ストレッサーを回避するだけでなく、少しずつストレスを乗り越えるトレーニングを行うことでストレスに負けない精神力を手に入れることも大切だと言えます。ぜひ自分自身の今の状態を俯瞰して、ストレスを乗り越えられるような環境を整えられるようにしてみてください。また、困ったときには医療機関や福祉制度でストレスを乗り越える手伝いをしてもらうことも大切です。日々のストレスケアは生活を営むうえで必要になりますが、必ずしも一人で行う必要はありません。

 今回は溜まったストレスを解消する方法より前の段階の「ストレスを溜めにくくする」という側面からの話でしたが、もしもストレスをすでに溜め込んでいる、ストレス反応が大きくでている場合などは、それぞれが持つストレス解消法を実践してストレス解消していくことが必要となってきます。ストレス解消法には「日光を浴びる」「体を動かす」「しっかりとした休息・休眠」「好きなものを食べる」などが一般的にあげられます。今度はこのストレス解消法についても、触れていければと思います。

参考文献等

※1 「乳幼児の睡眠と発達」 (本文へ戻る)

※2 「妊娠中からの親教育」 (本文へ戻る)

※3 「ジョン・ボウルビィの愛着理論」

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永⽥ 良介(ながた りょうすけ)

保育⼠、社会福祉⼠、精神保健福祉⼠。
主に、児童期における精神的な悩みや疾患などを主に取り扱う実践家。