パニック障害とは?発症の原因や治療法について!

2023.11.14

皆さんはパニック障害という病気を聞いたことがありますか?パニック障害は精神疾患の代表的なひとつです。

精神疾患は分かりづらいものが多く、どのような状態なのかイメージしづらいことも多いと思います。

今回は、精神疾患の代表例のひとつ、パニック障害について簡単に説明して、もし周りにパニック障害の方がいた時、どの様な関わり方をしたら良いのかお伝えしていこうと思います。

パニック障害の症状について

パニック障害とは、パニック発作が繰り返し生じる状態のことを言います。パニック発作とはDSM-5[※1]において「パニック発作とは、突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の13の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こる」と定義されています。

1.動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
2.発汗
3.身震いまたは震え
4.息切れまたは息苦しさ
5.窒息感
6.胸痛または胸部の不快感
7.嘔気または腹部の不快感
8.めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
9.寒気または熱感
10.異常感覚(感覚麻痺または熱感)
11.現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
12.抑制力を失うまたはどうにかなってしまうことに対する恐怖
13.死ぬことに対する恐怖

この症状を理解する上で大切なのは、パニック障害のパニックをただの「混乱」や「錯乱」ととらえないことです。この症状でのパニックは普通のパニックとは違って、頭の中が発作的にパニックになってしまい、それが原因で自分自身に身体症状として不快な感情を引き起こすということです。この脳内の動きとそれが原因で身体症状として現れることをパニック発作と言います。パニック障害は常にその症状が起こり続けているわけではなく、特定の場面(その人が苦手な場面)においてパニック発作が出てしまい、結果として行動が制限されたり自分のやりたいことができない、ということが診断のポイントになります。

例えば、働きたいと思っていてもいざ働くと人が怖かったり、周りに人がいることで逃げ出したくても逃げ出せないという状況で何もできなくなってしまう(この症状を広場恐怖といいます)、電車に乗りたいのに密室にいると自覚した途端に動悸や汗が止まらず倒れてしまう、このような状態はパニック障害と診断されます。

そして、パニック障害は一度発作が起こると、また同じ様な場面に遭遇した時に以前その様な状況に陥った経験からまた同じ様な発作に襲われるのではないか、という不安がさらにパニック発作を引き起こしてしまうこともあります。(これを予期不安といいます)

パニック障害の原因について

パニック障害の原因は厳密には解明されていませんが、ここでは「元々の心の強さ」と「今置かれている環境」の2点に分けて考えていきたいと思います。

人は、ストレスに対する抵抗力や脳内のホルモンの分泌量が遺伝によって決まります。外交的だったり内向的だったりという生まれ持った性格も人それぞれです(気質といいます)。両親のどちらかが精神疾患の既往歴がある場合、その子どもも精神疾患にかかりやすいという研究もされていますが、これはその人の脳内・体内の遺伝要素がその様な状況にさせていることがわかります。[※2]

また、今置かれている環境についても、人によってパニック障害の原因になりえます。
自身にとって大きなストレスを感じる環境では、パニック障害が発症しやすいといわれています。もちろん、そのストレスになる要因というのは人それぞれですし、同じ環境の中でも発症する人、しない人がいます。例えば、学校内で「みんなできるんだから君もできる」とか、職場で「これくらいできないと社会人として失格だぞ」というような言葉でやる気が出る人もいれば、大きなストレスを感じる人もいます。一概にこういった環境が発症しやすいということはなく、あくまで自身が大きなストレスを感じる環境、これがパニック障害の原因となりえるのです。

パニック障害の治療法について

パニック障害の治療について、薬物を使う治療法と使わない治療法について分けて考えていきましょう。

薬物療法では、抗うつ剤が使われます。種類はいくつかあるのですが、ここでの抗うつ剤の働きとしてはループする負の感情にストップを掛けるという効力が挙げられます。抗うつ剤を使うと、自分を責めたり嫌な感情に思考が支配されることに歯止めを効かせることができます。脳内物質のセロトニンという物質がそれらを防ぐので、薬によってセロトニン自体を増やしたり、セロトニンの働きを活性化させることができます。

次に薬物を使わないものに関しては、認知行動療法という治療法が挙げられます。認知行動療法とは、その人が今持っている考え方(認知)を改めて考え直し、気にしすぎない考え方を身につけさせる事で、同じ環境でも自分が気にしないことでストレスを減らし、再発させないよう治療する方法です。
認知の歪みという考え方がありますが、ある言葉を言われたり、ある体験をした時に一番悪い方向に考える癖があると、それがストレスを増幅させ悪い作用をもたらします。ただ、その認知の歪みは自分自身では変えることのできないくらい強烈なものです。なので、治療者の力を借りて、その認知の方法を話し合ったり、カウンセリング的な関わり方をすることでその人自身のストレスに対抗する力、ストレスを溜め込まない力を身につけることができます。

身近にパニック障害を持つ人がいる場合の関わり方

パニック障害を持つ人は人口の3%前後と言われています。30人に一人と仮定すると、決して珍しい病気ではありません。では、身近にその障害を抱えている人がいる場合はどの様な関わり方をすると良いのでしょうか。

まずは、精神疾患全般に言えることですが、その人が特別な病気にかかっていて関わりにくい、という意識を持たないことです。疾患を抱えている人は、多くの場合「自分自身が周りに迷惑をかけてしまう人間」という自己否定的な考え方を強く持っています。その様な疎外感がその人の不安を強くさせてしまうので、身近にいる人は特別な扱いはせず、その人自身を尊重した関わり方をするのが良いでしょう。

また、パニック障害の症状を引き起こす要因は「パニック発作が起きてしまったらどうしよう」という不安が最大の原因です。なので、そばにいる人が、パニック発作が起きても大丈夫だよというメッセージを伝えることが大事です。メッセージを受け取ることでその人が安心し、結果的にパニック発作を起こす要因を減らすことにつながる可能性があります。

また、その人の思考の癖について教えてもらうことも大切です。身近に理解者がいつもいてくれること、それが最大の安心につながるからです。ただ、そばにいる人も周りの専門家や理解者とうまく関わりながら、自分自身の心身の状態に気を使うことも忘れないでください。

最後に

パニック障害を抱えて生活する人が主人公の作品「夜明けの全て」[※3]を紹介します。心情が細かに表現されているので、理解の手助けになるでしょう。

参考文献等

※1 公益社団法人日本精神神経学会『DSM-5病名 用語翻訳ガイドライン』 (本文へ戻る)

※2 国立医療学会『心と行動の遺伝学』 (本文へ戻る)

※3 『夜明けの全て』著:瀬尾まいこ (本文へ戻る)

 

永⽥ 良介(ながた りょうすけ)

保育⼠、社会福祉⼠、精神保健福祉⼠。
主に、児童期における精神的な悩みや疾患などを主に取り扱う実践家。