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毎年10月31日はハロウィンだ。葉月が子供の頃は遠い異国の風習だったが、今やすっかり仮装イベントとして定着した。そもそもの起源は、死者の国から帰ってきた親類縁者の霊達と楽しく食事をしようと言うイベントらしい。つまりは……お盆か? 仮装は一緒にやってきた悪魔や悪霊から身を隠すための方法なんだとか。ナルホドナ〜。
仮装に並んでハロウィンに欠かせないものといえば、ジャック・オー・ランターンだ。カボチャをくり抜いて作られた、怖い顔のランタンはハロウィンの定番だろう。中には数百 kgを超す巨大カボチャのランタンもあり、迫力満点だ。しかしながら、一つ気になることがある。なぜカボチャは巨大化するのだろう? スイカですらせいぜい一抱えなのに、カボチャは巨大なものでは1 t超にもなる。そこで今回は、カボチャがどのように巨大化するのかについて解説していく。
なお本来のジャック・オー・ランターンはカボチャではなくカブらしいのだが、ツッコンではいけない。
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そもそも一般的なカボチャはどのように育てるのだろう?
農林水産省のホームページによると、カボチャは4月頃に種を撒き、5月〜7月頃に成長させ、8月か9月頃に収穫する。およそ4ヶ月〜5ヶ月かかるわけだ[注1]。
それでは巨大カボチャの場合はどうだろう? 約1 kgを育てるのに4ヶ月かかるのだから、1 tを超える巨大カボチャなら年単位でかかるのではないか、と思ってしまいそうだが実は生育期間は一般的なカボチャと変わらない。つまり、カボチャの巨大化はカボチャそのものの特性というより、品種に依存するところが大きいのだ。
それではここで問題だ。巨大カボチャは、なんという品種から作られるのだろう? 次から1つ選んで欲しい。
①パシフィックヒュージ ②アトランティックジャイアント ③ジャンボインディアン
Jessica A Savage, et al. “The making of giant pumpkins: how selective breeding changed the phloem of Cucurbita maxima from source to sink”. Plant Cell Environ. 2015 Aug;38(8):1543-54.
Chen Chen, et al. “Effects of Exogenous α-Naphthaleneacetic Acid and 24-Epibrassinolide on Fruit Size and Assimilate Metabolism-Related Sugars and Enzyme Activities in Giant Pumpkin”. Int J Mol Sci. 2022 Oct 29;23(21):13157.
Umesh K Reddy, et al. “What makes a giant fruit? Assembling a genomic toolkit underlying various fruit traits of the mammoth group of Cucurbita maxima”. Front Genet. 2022 Sep 20:13:1005158.
Liu Pan, et al. “Whole-genome resequencing identified QTLs, candidate genes and Kompetitive Allele-Specific PCR markers associated with the large fruit of Atlantic Giant (Cucurbita maxima)”. Front Plant Sci. 2022 Jul 22:13:942004.
[注1] 皆さんは「カボチャ」を意味する英単語をご存知だろうか? 「パンプキン(pumpkin)でしょ?」と思われた方にお聞きしたい。そのカボチャは何色だろう? 実はパンプキンは日本では馴染みの薄い、黄色い皮のカボチャなのだ。私たちがよく知る、緑色の皮のカボチャはスクワッシュ(squash)という。 (本文へ戻る)
[注2] ところで巨大カボチャについて誰もが一度は思った疑問があるのではないだろうか? すなわち美味しいのか? 実はアトランティックジャイアントは牛の飼料として開発された品種だ。そのため人の舌に合うようには作られてはいない。我々は目で楽しむだけにしておこう。 (本文へ戻る)
[注3] 20 kgというと小学1年生の体重くらいだろうか。牛の体重増加が1日1.3 kgほどだというのだから、どれほどの超スピードか推して知るべしと言ったところだ。……え、牛よりも速く成長するの? (本文へ戻る)
[注4] 例えば受精卵の初期段階では、細胞分裂がガンガン行われるため細胞数は2n倍に増えていく。一方で細胞質の成長は行われないため、結果として全体の体積は元の受精卵とあまり違わない。生命の神秘だ。 (本文へ戻る)
[注5] 例えば、成長を止める遺伝子の働きが抑制される事で、成長が止まらなくなっているという考察がある。実際、該当すると思われる遺伝子がアトランティックジャイアントで働いていることは明らかになっているが、体積の増加はこの遺伝子によるとは考えにくいので悩ましい、といった感じだ。 (本文へ戻る)
[注6] 作り方はそんなに難しくない。水と洗濯のりとホウ砂水を混ぜるだけだ。どれもドラッグストアで簡単に出来るので、気になった方は詳しい作り方を調べて作ってみてほしい。お好みで水性絵具やスパンコールを入れても楽しい。 (本文へ戻る)