甘い棒付きキャンディが細菌検査キットに? 「キャンディコレクト」について

2023.07.14

みなさんこんにちは! サイエンスライターな妖精の彩恵りりだよ!

 

今回の解説は、一見すると棒付きキャンディにも思える唾液採集器具「キャンディコレクト」の開発研究の解説だよ!

 

ちょっと変わった形をしているだけの、甘い味のする棒付きキャンディとしか思えないけど、ちゃんとした唾液採集器具で、きちんとした検査結果を出してくれるよ!

 

使い方も棒付きキャンディとほとんど変わらないことから、細菌やウイルスを検査するための採集器具を、チューブや綿棒からこれに置き換えてくれるかもしれないよ!

 

キャンディコレクト サムネ

(画像引用元: ACSプレスリリース)

重要だけど正直イヤと思う人も多い唾液採集

唾液を採集して検査にかけ、口の中にいる様々な細菌やウイルスを調べるのは、検査医療で一般的に行われていることだよね。直近だとCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症) のPCR検査でもやった人はいると思うよ。

 

唾液の採集はさほど高度な技術を必要としないことからも、遠隔地で検査すること自体が大変な場所でも、検査キットをやり取りすれば検査ができる、というメリットがあるよ。

 

ただ、検査は重要と分かっていても、結構大変だった、正直イヤだったって思った人も少なくないんじゃないかな?わざと唾液を出して適切な容器に入れる、ってのは結構難しいし、汚らしいって考えてもしょうがないよね。

 

大人でもこうなので、子供にこれをやらせようとすると余計に大変だよね!子供は子供で年齢ごとにかかりやすい感染症というのがたくさんあることから、検査は重要なんだけど、説得というのは中々難しいと思うよ。

 

棒付きキャンディな唾液採集器具「キャンデイコレクト」

ワシントン大学のWan-chen Tu氏などの研究チームは、この難点を改善するかもしれない検査キットを開発したよ!発想の素は、病院を受診した際に子供がもらえるご褒美、すなわちキャンディにあるよ。

 

キャンディは甘いので子供たちに人気で、口に入れる抵抗感も少ないけど、舐めることで唾液の分泌を自然に促せる、という別の利点もあるよ。後は、どうやったら唾液を採集できるのか、だよねぇ。

 

キャンディコレクトの概要

キャンディコレクトは棒付きキャンディにしか見えないし、ちゃんと甘い味もするよ。でも中心部にある渦巻き状の溝に唾液がハマり、ここに検査対象の細菌も閉じ込められるよ。 (画像引用元: ACS 原著論文 & プレスリリース)

 

Tu氏らは、キャンディに棒をつけた、いわばペロペロキャンディのような、糖アルコールのイソマルトでできた甘い味のする唾液採集器具「キャンデイコレクト (CandyCollect)」を開発したよ。

 

キャンディコレクトは一見すると普通の棒付きキャンディだけど、スプーンのような縁取りと、中心部に渦巻き模様の溝がある、という点が普通のものと異なるよ。

 

キャンデイコレクトは、この渦巻き状の溝に検査に十分な量の唾液がはまり込むことを利用し、唾液を採集することができる、というわけだよ。

 

Tu氏らは過去の実験で、子供に多い咽頭炎の原因菌であるA群レンサ球菌を、キャンディコレクトで採集した唾液の中から取り出すことに成功しているよ。

 

そこで今回は検査対象を拡大し、28人の成人ボランティアに対して、キャンディコレクトを従来の唾液採集器具である綿棒やチューブ、そして器具の使用感を示すアンケートと共に送付し、使った後に返送してもらったよ。

 

検査対象は虫歯の原因であるミュータンス菌 (Streptococcus mutans) と、日和見感染症の原因となる黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) で、リアルタイムPCRで検出できるかどうかを調べたよ。

 

その結果、従来の唾液採集器具でミュータンス菌か黄色ブドウ球菌かのどちらか、あるいは両方を検出できた場合、キャンディコレクトで採集した唾液でも100%の確率で検出することに成功したよ!

 

使用感のアンケートでも、一番抵抗感が少なかったり、汚らしいという感覚が薄かったのは、3種類の採集器具でキャンディコレクトが1番人気だったよ!これは採集の忌避感を低下させる意味でとても重要だね!

 

検査を行うための唾液という検体も、従来の検査器具と同じように送付と返送でやり取りして問題なかったことから、遠隔地でも従来と同じように送付形式でキャンディコレクトを使ってもらえるよ。

 

そして、今回使われたキャンディコレクトは、室温で最大1年間保存されたものだけど、特に検査に支障がでたことはなかったよ。保管に特別気を使わないという点は、検査をする病院側にも利点がある、ということになるね!

 

ユーザーフレンドリーな採集器具で検査医療を拡げられる?

キャンディコレクトの性能

今回の研究では、従来の唾液採集器具と共にキャンディコレクトを送付して使ってもらったよ。検査の実績は器具同士では変わらず、不快感はキャンディコレクトが一番小さかったよ。そして送付でのやり取りが可能で、長期の室温保存も可能と、キャンディコレクトはかなり優れているよ!。 (画像引用元: ACSプレスリリース)

 

今回作られたキャンディコレクトは、単に子供が病院に通ったご褒美以上のものとして、キャンデイが効果を発揮するのかもしれない、という点でとても重要だよ。

 

今のところキャンディコレクトは実験段階なので、まだ改良の余地はあるかもしれないし、従来の唾液採集器具にとってかわることができるのか、という点もよく調査しないといけないよ。

 

それでもキャンディコレクトは、使う人に不快感を与えにくいし、何より甘い棒付きキャンディと使い方がほとんど変わらない、という点でとても優れており、実用化を期待したいところだよね!

 

検査医療は、病気の原因を突き止めることで、患者に適切な治療法を提供したり、感染症の拡大を防ぐ重要な役割があるけど、検査の漏れや拒否、誤った器具の使い方は、検査医療の大きな障害となるよ。

 

キャンディコレクトのようにユーザーフレンドリーで抵抗感が少ない採集器具の開発研究は、検査医療の現場において起こりうる様々な困難、障害、エラーを取っ払ってくれる可能性があることから、とても重要だよ!

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文献情報

<原著論文>

  • Wan-chen Tu, et.al. "At-Home Saliva Sampling in Healthy Adults Using CandyCollect, a Lollipop-Inspired Device". Analytical Chemistry, 2023; 95 (27) 10211–10220. DOI: 10.1021/acs.analchem.3c00462

 

<参考文献>

 

彩恵 りり(さいえ りり)

「バーチャルサイエンスライター」として、世界中の科学系の最新研究成果やその他の話題をTwitterで解説したり、時々YouTubeで科学的なトピックスについての解説動画を作ったり、他の方のチャンネルにお邪魔して科学的な話題を語ったりしています。 得意なのは天文学。でも基本的にその他の分野も含め、なるべく幅広く解説しています。
本サイトにて、毎週金曜日に最新の科学研究や成果などを解説する「彩恵りりの科学ニュース解説!」連載中。

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