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地域特産品は旅行に行った際の大きな目玉である。インターネットと通信販売が発達した現在では、地域特産品も自宅に居ながら食べられるようになったが、送料がちょっと高かったりする。一昔前の地域特産品は、その地方に行かなければ食べることができないものが多かった。特に海産物は鮮度が落ちると臭みが出てくることと、送るにはサイズが大きなことがあるので、地産地消されているものが多い。マンボウもその一つである。マンボウを特産品とする地方は少ない……これは逆説的に考えると、その地方に行かなければマンボウを食べられないということを意味する。
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かつてマンボウを町のシンボルとして「町の魚」に選定した地域は3つあった。千葉県の鴨川市、宮城県の気仙沼市、そして、三重県の紀北町である。しかし、市町村合併や政策の変更によって、マンボウを「町の魚」として選定している地域は、今や三重県の紀北町のみになった。紀北地方には、「紀州藩主が長島浦(現在の紀北町紀伊長島区)に見回りに来た時に、地元民はどんなご馳走を出そうかと悩み、自分達が一番美味しいと思うマンボウの肉を出したところ、藩主がとても気に入り、漁獲されたら和歌山城まで持って来いと言った。だが、マンボウを和歌山まで持って行くのは大変だから、船の上でマンボウを解体するようになった(船の上で解体して肉にすれば陸に持って帰った時マンボウの肉とは気付かれない)」という、漁師がマンボウを船の上で解体するようになった一つのソースと考えられる興味深い民話が残っており、伝統的にマンボウが地産地消されてきた。この証拠に、三重県庁のホームページには、紀北町紀伊長島区の郷土料理として、マンボウの肝和えのレシピと作り方が掲載されている。
マンボウを特産品として推すこの町では、マンボウを使った様々な料理開発が今も行われており、ついにマンボウを練り込んだお菓子「マンボウあられ」を作り出した!なかなか衝撃的であるが、世の中には食用コオロギを粉末にして練り込んだあられ もあるくらいなので、マンボウが練り込まれていても不思議ではない。
「マンボウあられ」は帯に三重県紀北町限定 と書かれているように、道の駅紀伊長島マンボウなど紀北町でしか販売されていないようで、インターネットで探しても通販サイトが無い。今の時代に珍しい、現場に行かないと買えないお菓子なのである!私もお土産としてもらったことがあり、マンボウが練り込まれたお菓子なんてあったのか!と結構ビックリした。「マンボウあられ」は「マンボウのこわたwith塩こしょう味」と「マンボウの身with塩こしょう味」の2種類があり、味は同じだが練り込まれているマンボウの体のパーツが異なる。こわたはマンボウの腸、身はマンボウの肉である。調べてみると、2017年5月5日 から販売開始されたようだ。見た目はどこにでも売られている一般的なあられの形状をしている。問題は味だ。早速食べてみた……うん、塩コショウが効いていて普通に美味しい。しかし、マンボウの味が全くしない。マンボウ要素がどこにもない。どちらを食べても同じ味。たぶん、市販で売られているあられとして出されたらこれにマンボウが練り込まれているなんて気付かない……。疑うのはよくないが、本当にマンボウが練り込まれているのだろうか?
原材料に確かに「まんぼう」と書かれている。あられのなかにマンボウが練り込まれているのは間違いないようだ。
このあられを食べてマンボウを食べたことあるよ~とは言えるが、マンボウ自体の味が全くしないので、マンボウがどんな味かを説明するのは難しそうだ。どのくらいの割合でマンボウが練り込まれているのかは不明だが、もっとマンボウ比率を上げるとマンボウの味を引き出せる……のかもしれない。しかし、これは吉報だ。マンボウを食材として使える可能性が広がったと私は思う。あられがいけるなら、粉末にしてポテトチップスなどもいけるのではないだろうか? コスパが見合うかどうかはわからないが……マンボウポテトチップスは手軽なお土産として名物になりそうだ。
最近の価格高騰で現在どのくらいの値段でこのあられが売られているのかはわからないが、インターネットで調べた限りでは一袋300円前後だったので、「マンボウあられ」はお土産としてはお手頃価格である。紀北町に行く機会があれば、是非探してみて欲しい。道の駅紀伊長島マンボウには、マンボウの串焼き、マンボウの唐揚げ、マンボウナゲットにマンボウカレーなども売られていて、食材としてのマンボウを楽しむことができる。ちなみに、マンボウのお菓子で検索すると引っ掛かる株式会社イシガミの「ぬれてるマンボー」は、マンボウ型のぬれ煎餅だが、こちらにはマンボウは練り込まれていない。
~今日の一首~
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