中高生が、企業の課題について本気で考える。大人も本気で応える。「CorpTouch(コープタッチ)」レポート

2023.05.29

「中高生のアイデアを、企業が持つ重要課題の解決に役立てる」。"斬新そうなだけ"にも聴こえますが、こんなことを本気で考えた3人の高校生が起業し、実際に収益を上げているというので驚きです。

そんなスーパー高校生(現在は大学生。もう創業3年目になるそうです。)たちの会社「Unpacked」が着目したのは「探究型学習と社会・企業課題の解決」の掛け算。自ら問いを立てて、それに対して自ら答えを探究する学習ができる中高生の育成と、企業の課題解決を同時にやってしまう、そして企業側は将来有望な中高生に今から名前を覚えてもらえる・・というモデルです。

彼らUnpackedが主催し、中学生&高校生がアイデア出しに参加してくれるイベント「Corp Touch(コープタッチ)」が開催され、招待いただける・・とのことで、アズワン(株)の一員として平山と、本記事の書き手である私・若林の2名が参加してきました。今日はその様子をイベントレポートという形で、ご紹介したいと思います。

アイスブレイク -オリジナルゲームで自己紹介

班で分けて、自己紹介して、ワークショップがあって、最後に発表して・・という全体の流れは、よくあるアイデア出し系ワークショップのフレームではあるものの、1つ1つのメニューはしっかりと練られていました。

自己紹介に"NGワード"要素を組み合わせて、隣の人が考えた「自分だけが知らないNGワード」を言わないように、でも皆には言わせるようにお互い質問をしていきます。当たり前ですがたくさん質問をすればするほどNGワードを言わせられる率も上がっていく・・これは確かに、単純なようでよく練られたアイデア!

高校生が本気で考えてきた企画、本気でぶつからないと大人として恥ずかしいぞ・・!と思ったのもこの"アイスブレイク"あたりから。

NGワードを言わせるための質問を通して、中学3年生~高校3年生まで幅広く参加していること、この「CorpTouch」も数回開催されていてリピーターの子も初参加の子もいること、生徒会長をやっていたり難民支援のボランティアに参加していたりと課外活動に積極的な子が多いこと・・等を知ることができました。

「企業の課題」インプットの時間

雰囲気もほぐれてきたところで、いよいよ本題。今回のイベントは、虎ノ門ヒルズにあるインキュベーションセンター「ARCHアーチ」に入居している企業の中からアズワンを含めて5社が参加しており、それぞれの企業が検討したい課題を持ち寄ってきています。

アズワンが持ってきたテーマは「どうしたら研究者になりたい子供が増えるか?」。実験器具の販売をしていて研究者を支えるビジネスを展開している弊社にとって、"将来の研究者数"は減ってしまっては困るもの。ということでこのあたりを議論することにしました。

「日本の研究者の数は云々、私たちの仕事って云々・・」というタイクツな話題にも、ガツガツ質問してくれました。

YouTuberよろしく「研究者を増やして、日本を救いたい」みたいな

 

ここは流石の優秀な中高生、分からないと思ったらすぐに分からないと質問してくれて、インプットの時間と言えど空虚な「お勉強タイム」にならない展開に。

ディスカッションタイム。70分でアイデアを考える。

中高生からの質問が始まったのでインプットの延長でそのままディスカッションに。積極性と理解力にあふれたキラキラを浴びて、話すこちらも熱が入ります。

ーみんなは今、すげー、って思う職業とか、将来なりたいものってある?

ーそれを目指すことになったキッカケって何?

ーそれをヒントに、科学者に置き換えるとどんなアイデアが浮かぶ?

ー科学者ってどんなイメージ?

ーちなみに理科って好き?

チームメンバーは6人いましたが、それぞれ「将来の夢」もあったり無かったり異なっていたりするので、違った視点から自分事に置き換えつつ、色々な回答が返ってきました。

そんな中で生まれた彼らの気づきと、アズワンが持ってきた課題を彼らなりに捉え直すと、こうなりました。

「今の子供たちがなりたい職業の"YouTuber"や"プロ野球選手"、"アイドル"との類似点・違いはなんだろう?を突き詰めてみる」

議論の中で、研究者とYouTuber、どちらも「好きなことにまっしぐら」な職業なのでは?という意見が出たことによって、ここを掘ってみよう、ということになりました。

インプットからアウトプットまでのスピードが早い

さっき聞いたばかりの「研究者事情」もしっかり嚙み砕き、モノにしています。

「普段は会社員だけど、週末はYouTuberとして活動している人も多いよね。研究者ってそんな感じの人いないのかな?」

「何やってるか見えないから目指しづらいんだったら、何やってるか見せたらいいんじゃない?」

「基礎研究と応用研究のうち、基礎研究が軽視されがちなのが問題なんだよね?」

「YouTuberはYouTubeっていうプラットフォームがあるから、ここに行けば誰でもなれるよね。・・え、改めて研究者って、なるために資格要るんだっけ?」

分からないことがあれば大人に聞いたり、検索したり。よくわからない「研究者」の話を、自分たちの中でより解像度の高い「YouTuber」に置き換えて考えるのも、誰に教わるでもなく自然に行っていました・・すごすぎる。

そうこうしているうち、70分のディスカッションもいよいよ後半になり、「最終アイデア」を考えるフェーズに。

「ここに行けば誰でも研究者になれる場所、がいいんじゃない?」

この1つのアイデアをベースに、肉付けしていくことになりました。

「誰でも研究者になれる」から派生させていく

アイデアを発散させた後、収束させていく「作業」も素早い。時間配分をしっかり考えている…

「主役はあくまで中高生なので、行き詰まったら少しサポートしよう」くらいに思っていましたが、もはや全く我々の出る幕は無し。

「僕、パワポ得意なんでささっと作ります」・・え、もううちに入社してください。

 

そうしてできたアイデアが「誰でも利用できる共有ラボ × パブリックに配信」というものでした。街に1つあるべきで、図書館くらい身近な場所にするために「行政を動かす」というワードまで飛び出し、「行政」なんか口にしたことも頭に浮かんだこともない自分の中学校時代を懐かしみつつ・・あっという間に70分が終了しました。

パワポ(プランA)が間に合わなかったときのためのホワイトボード(プランB)を用意するという周到さ。マジか

 

「Dear ASONE」で締めくくる

科学をもっと身近に!! サブスク×パブリックラボ。キャッチコピーもオシャレです。

できたアイデアは班ごとに発表。他のグループの発表については都合上記事掲載はできませんが、こんな短時間でアニメーション付のパワポを作ったり、付箋でびっしりのホワイトボードを簡潔にまとめて話したり、班ごとに個性的な発表が行われていきました。

アズワン班の発表が一番最後でしたが、このチームは唯一「全員で発表する」形式で、そのため全員が同じ目線・同じ理解度で発表を行うことができていました。冒頭にも触れましたが、中学3年生から高校3年生までがごちゃまぜのチームで、です。ただでさえ短時間という制約もありながらこれがサラっとできる吸収力と応用力にただただ脱帽です。

Dear as oneで締めくくり。中高生ということも忘れる上手なプレゼン

「シェアラボ・レンタルラボ」までは発想としてよく挙がるものの、目的・価値としては"手軽・安価な機器共用"に留まることが多いです。ここに「パブリック(ビューイング)」を加えて教育要素を掛け算し、誰でも見ることができて「研究者を身近に感じられる」「更に投げ銭も贈れる」というのはZ世代ならではのアイデアでした。

参加学生は"会社のサービス開発の手法を学んだりできた"とのこと。とんでもない。我々の方が学びは多かったです。

 

主催企業の大学生が最後に言った「今日のワークショップを単なるイベントと捉えずに、もし今回のアイデアがすばらしいと思った企業の方は、是非実現・実装に向けて今度は大人が、考える番です」という言葉に、参加企業の全大人がドキっとしつつ、閉会となりました。

アイデア出ししていただいた中高生の皆様、主催のUnpackedさん、ありがとうございました。大人も大人で、頑張っていきます・・・!!

Lab BRAINS編集部 若林たろう

Lab BRAINS運用の担当者として、研究者が更に輝くための企画づくりや、サイトを通じた新規の様々なチャレンジに取り組んでいる。Lab BRAINS公式Twitterの運用も行い、ラボブレインズファンを増やすべく活動中。
クイズ好きが高じて、ラボブレインズに自作のナゾトキクイズコーナーを作りました。

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