ヒマワリはマルハナバチの生産性を高める"魔法の食べ物"!?

2023.04.25

 明るいニュース!

 ヒマワリの花粉がマルハナバチたちの生産性を高めることにつながるという研究が発表されたのでご紹介します!

 「マルハナバチの仲間がイギリスで絶滅するか希少種となれば、パンジーやアカツメクサも希少になるか消滅することは疑いようがない」

 これはあのダーウィンが『種の起源』にて述べたことです。

 

 マルハナバチは花粉を集める過程で花たちを受粉させる重要な花粉の媒介者であり、世界中の植物の生産に大きく貢献しているといえるでしょう!

 人類の相棒とでもいいましょうか!

個人的にですが、見た目もふわっもっふで非常に可愛らしい…

 

 しかし、悲しいことにマルハナバチは国内外を問わず個体数の減少が叫ばれているんです……

 理由はいまだに完全にはわかっておらず、さまざまな要因が合わさっているとされていて……この問題が解決できるかはマルハナバチだけではなく、僕たちにとっても非常に重要なものだと言えます!


花粉で健康に?


 繰り返しになりますが、マルハナバチの減少にはさまざまな要因があって「これが原因で減っている!」というものは詳細にわかってはいないんですよね。


 ただ要因のひとつとして、いくつかの病原体がマルハナバチの健康に悪さをしていることはわかっていて……そのうち、今回焦点の当てられたクリシジア Crithidia bombi という寄生虫もマルハナバチに広く感染する病原体のひとつです。


 クリシジアはマルハナバチの腸内に感染することでさまざまな悪影響を起こすことが知られています。例としては女王バチの越冬する力やコロニーを形成する能力、飢えている個体の生存力や学習能力の低下などです。


 そんなクリシジアに対抗する要素として挙げられるのがヒマワリの花粉!


 ヒマワリなどの花粉が腸内にいるクリシジアの量を減らすことは前々から知られ、研究されてきたんです!


 そして今回、マルハナバチの仲間 Bombus impatiens においてヒマワリの花粉を与えられたハチのクリシジアの数が81%から94%も減少することがわかりました!


 これは女王バチちゃんが冬を生き残る可能性を上げ、さらに新たな女王の数を著しく増加させる……すなわち、マルハナバチが増えるのを助けてくれるわけです。


 食べると魔法のようにマルハナバチを内側から支える「ヒマワリの花粉」……


 冒頭説明したように、マルハナバチは花粉の媒介者として、世界中の植物の生産にとって重要なポジションを持っています。つまりマルハナバチは僕らの食べ物の生産の要であり、これは言い過ぎではなく、彼らの健康はすなわち僕らの健康とも言えるんです。

鍵はその形?

ヒマワリの花粉を摂取して、今日も健康に…

 

 そんなマルハナバチの健康の促進に役立つというこの魔法の食品…どうしてこんな効果があるんでしょう?

 ヒマワリの花粉はタンパク質や一部のアミノ酸が少なく、栄養的に優れているわけではないようです。

 研究チームの方々は理由を調べるため、いくつかの実験を行いました。

 

 ひとつは条件ごとにマルハナバチに花粉を与える実験です。

 ヒマワリの花粉、ヒマワリの花粉の中身(代謝産物)を混ぜた野草の花粉、ヒマワリの花粉の殻をまぶした野草の花粉、また同じ条件でソバの花粉を与えました。

 結果としてヒマワリの花粉の殻を食べたマルハナバチは食べていない子と比べると約90%もの腸内のクリシジアの数が減少することがわかりました!


 さらに別の実験ではさまざまな種類の植物の花粉を与えた結果、ブタクサ、オナモミ、タンポポなどのいくつかのキク科の植物の花粉でも同様にクリシジアへの感染率が減少していました!

 理由として考えられるのはその花粉の形なんだそうです!

キク科の花粉はトゲトゲ(画像はイメージです)


 成分や化学的特性ではなく、キク科の花粉のトゲトゲとした形がマルハナバチに良い影響をもたらしているそうなんです!

 しかし「トゲが長ければ優れている!」というわけでもなく、どうしてこんな作用があるのかは今回の研究では完全には明らかになっていません。説としてはトゲが腸内の病原体を削いでいるというものや、排せつを促進させた結果であるというものがありますが……同じマルハナバチでも種族によっては効果がなかったりと謎が残ります。


 わかっているのは「キク科の花粉がクリシジアへの感染を抑制する」ということだけなのです。


 これは今後の研究が楽しみですね!

まとめ

ハチ♡ヒマワリ


 今回の研究ではヒマワリを含むキク科の植物の花粉がマルハナバチの腸内のある病原体を減少させることがわかりました!結果的に女王バチも増えるし、いいことずくめ!

 

 しかし、その詳しい仕組みについては今後の研究に乞うご期待!


 花粉の媒介者の減少は世界中が直面している非常に深刻な問題と言われており、今回の研究はそれを食い止めるうえで重要な示唆を与えるものなんです!


 もちろん、これだけで完全にマルハナバチの減少を食い止めることはできませんが、キッカケとなって他の問題の解決となるといいですね!


 余談ですが、ヒマワリはマルハナバチちゃんだけでなくセイヨウミツバチ(Apis mellifera)もとある病原体から保護することがわかっています。こちらの今後の研究にも注目していきます!

 

最後に雑学!
「マルハナバチはボールを目的もなく転がして遊ぶ!」

関連記事:セイヨウオオマルハナバチは遊びをする!昆虫では初発見!

 それではまた!

 

~本当の余談~

 初めまして。この記事を書かせていただいた三日月あかりです! Twitterなどで細々と動物の素晴らしさをつぶやいている人です。
 今後も動物についての研究などを簡単に紹介していくつもりなので、お手柔らかによろしくおねがいしますね!

<論文>

Laura L. Figueroa et al, Sunflower spines and beyond: Mechanisms and breadth of pollen that reduce gut pathogen infection in the common eastern bumble bee, Functional Ecology (2023). DOI: 10.1111/1365-2435.14320

Rosemary L. Malfi et al, Sunflower plantings reduce a common gut pathogen and increase queen production in common eastern bumblebee colonies, Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences (2023). DOI: 10.1098/rspb.2023.0055


<参考文献>

・Daegan Miller, University of Massachusetts Amherst. (2023). New research finds surprising science behind bumble bee superfood. Phys org.

・North Carolina State University. (2018). Sunflower pollen has medicinal, protective effects on bees. Phys org.

 

【著者紹介】三日月 あかり(みかげ あかり)

生き物大好きなあかり君。生き物の情報を求めて日夜ネットの海を漂っている人。動物の研究について紹介して、みんなが少しでも興味を持ってくれるといいな。

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