マンボウ系VTuber × 海とくらしの史料館 初コラボ! マンボウ入りタコ無したこ焼きも復活!?

2023.04.06

 私が ChumuNote さんのことを知ったのは、まさに2022年が終わろうとしていた、2022年12月31日だった。いつものように、マンボウについて呟いている人はいないかなと Twitter で検索していた時に、

「マンボウリュックを背負った女の子になりました」

という、イラスト付きのツイートがヒットした。イラストのあちこちにはマンボウをモチーフにした装飾があり、プロフィールを見てみると『VTuber』と書いてある。VTuber と言えば、最近は芸能人に匹敵するくらい、若い人の間で注目度が高かったりするジョブだ。ChumuNote という名前らしい。ついにマンボウ系 VTuber が誕生したのか!? と、思わずはしゃいでしまった。

 それまで ChumuNote さんのことを知らなかったのだが、私のフォロワーには知っている人がいるかもしれないと思い、引用リツイートをしてみたところ、なんと本人からリプライが返ってきた。ChumuNote さんは私が運営しているマンボウ研究関連の話を載せたホームページを見ていて私のことを知っており、マンボウ推しなのだという。これは…コラボができるんじゃないか? 私が特任マンボウ研究員をしている『海とくらしの史料館(海くら)』では、毎年ゴールデンウィーク前後にマンボウ祭を行っている。そこで何かできるのでは? とインスピレーションが働いた私は、その場の勢いで ChumuNote さんに提案し、年が明けてからは、実際に海くらとコラボする形で動き出した! 

 今回は、そんな経緯でコラボすることになった ChumuNote さんと、マンボウ祭のお話だ。


ChumuNoteさんについて

 ここまで ChumuNote さんのことを話してきたが、この記事ではじめて知った人のために、もう少しだけ彼女について書かせていただく。ChumuNote さんは元々企業に所属した VTuber で、2019年5月から仕事として VTuber をやっていたのだが、2022年10月に所属事務所が解散となり、権利の関係でそれまで使っていた名前とビジュアルが使えなくなった。その後、縁あってミキシングエンジニア関係の会社に就職できたことを機に、個人 VTuber として活動を再開した、という経緯をもつ。個人 VTuber として再開するにあたり、モチーフにするものを探していた時にシンパシーを感じたのがマンボウだった。マンボウはインターネット上で死にやすいという都市伝説が流布しているが、それはデマであり、実際のマンボウはもっと力強く自然界で生き残って現存している。ChumuNote さんはそんなマンボウの境遇に自身を重ね、事務所解散と同時に消えたと思われた人々の印象に対し、そんなにすぐに消えてたまるかー! という思いで、マンボウを背負うことにしたという。

 マンボウの都市伝説は私が長年躍起になって事実と異なることを訴えてきた側面もあり、ChumuNote さんの誕生に少なからず影響を与えていたことにビックリした。何かを失ったからこそ得られるものもあるとはよく言ったもので、ChumuNote さんの事務所が解散していなければ、海くらとコラボすることもなかったことだろう。縁とは不思議なものだなと感じた次第である。

 

コラボ動画「ちゅむ学級」

 マンボウ推しというものの、ChumuNote さんは魚類全般が好きで、特別マンボウに詳しいという訳でもない。しかし、せっかくマンボウがテーマの VTuber であるのなら、実際にマンボウにも詳しくなってもらおうじゃないか! と企画したのが、今年度の海くらマンボウ祭の動画「ちゅむ学級」である。「ちゅむ学級」は私が ChumuNoteさんにマンボウクイズを出しながら、マンボウ研究のトピックを解説し、視聴者と一緒に実際の生物としてのマンボウに詳しくなってもらうというコンセプトで作られている。

この動画は、マンボウ祭開催中の2023年4月22日~5月22日の間、現地でしか見ることができない限定動画だ! ぜひ、マンボウ祭でその内容を確認してほしい。

GWはマンボウ祭に

 マンボウ祭では、ChumuNote さんのグッズを買うこともできる。マンボウに興味のある方はもちろん、ChumuNote さんのファンの方も、ぜひ多くの人に『VTuber × 海くら』の企画を楽しんで頂きたい。近年、VTuber を活用して地域や施設の魅力を発信しているところが増えてきている。経済産業省が学術系 VTuber ユニット・まなぶいを令和4年度「未来の教室」実証事業(テーマB)に採択したことも最近のことだ。海くらは鳥取県境港市の地方にあり、建物自体もそれほど大きくないが、日本でも数少ない700種の海洋生物の剥製をじっくり観察することができる、魅力のある博物館だ。館内には日本最大のマンボウの剥製(全長 275 cm)もある。コロナ禍で来館者数が減ったのはどこも同じであるが、そろそろ従来の来館者数に戻したいところ。今回、海くらが VTuber コラボを試みたのは、これからを担う若い世代の人達にも見に来て欲しいという、地方博物館の願いが込められている。博物館と個人 VTuber がコラボした事例はまだ少ないようなので、そういう意味でも注目される。


 海くらのマンボウ祭は、生きたマンボウはいないものの、マンボウのパネル展や江戸時代の古文献も見ることができ、今まで知らなかったマンボウの一面を知ることができるだろう。また、4月29~30日・5月3~7日の14時には、コロナ禍で控えていた『マンボウ入りタコ無したこ焼き』が振る舞われる予定だ(30名程度無料)! マンボウの入ったたこ焼きは全国でもかなり珍しい料理なので、是非食べて頂きたい!(以下の写真は2019年に振る舞われたマンボウ入りタコ無したこ焼き)



 マンボウ祭が終わった後、博物館と VTuber コラボがどのような結果になったのか、またお伝えしたいと思う。

 

~今日の一首~
 VTuber
  マンボウ繋がり
   コラボする
    海くら活気
     戻るか否や

 

 

海とくらしの史料館
http://umikura.com/

〒684-0016 鳥取県境港市花町8-1


米子自動車道(米子I.Cより)約40分
松江市より  約50分
米子空港より 約15分
●夢みなと公園より 約10分
●水木しげるロードより 約5分(約1.5キロ)
●べた踏坂より  約20分(約6.3キロ)

JR
米子駅~境港駅  約40分(鬼太郎列車)
●境港駅からは水木ロード経由で徒歩20分
●はまるーぷバス利用で約8分

 

参考文献

野村柾貴・脇田航.2022.リアルでライブ配信可能なテレイグジスタンスVTuberシステム.第27回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集,3G-07.

【著者情報】澤井 悦郎

海とくらしの史料館の「特任マンボウ研究員」である牛マンボウ博士。この連載は、マンボウ類だけを研究し続けていつまで生きられるかを問うた男の、マンボウへの愛を綴る科学エッセイである。

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