大人気!魅力的な「ビスマス結晶」作り方実験について解説!

2023.03.20

皆さんこんにちは!市岡元気です⌬
今回は皆さんに大人気の「ビスマス結晶」の実験についてレポートしたいと思います!小さい子どもから大人の方まで楽しめるように用語をできる限り簡単にして説明していきます。

まずは、こちらをご覧ください。

こちらが僕が長年かけて完成させたビスマスの結晶です。このようにまるで「未来都市」や逆に「古の古代要塞」のような複雑な模様と綺麗な色の結晶ができるので多くの人を魅了し虜にしてきました。
また、このような大きな結晶を作るのは大変難しいのですが、小さい結晶であれば誰でも簡単に作ることができるので安全に気をつければ小さい子どもにも大人気の実験です。

興味が持てたらこちらから実験キットを手に入れてチャレンジしてみてください。
●実験キットのページへ

ではビスマス結晶ということで「ビスマス」と「結晶」に分けて説明していきましょう。

ビスマスについて


ビスマスは日本語で蒼鉛(そうえん)、原子番号83の金属元素で元素記号はBi。蒼鉛の名前の通り僕の作ったビスマス結晶は蒼く、元素周期表でビスマスの隣は鉛です。

鉛の融点は327.5℃ととても低いですがビスマスの融点はさらに低く、271.4℃で溶けます。簡単に溶けるので低融点合金の材料として使われたり、火事の時に溶けてスプリンクラーが作動するためのスイッチに使われたりします。鉛と同じように柔らかく、しかし鉛と違い無害なので釣りの錘(おもり)や散弾銃の弾など従来鉛として使われてきたものの代わりとして注目されています。

大抵のものは固体になると体積が小さくなります。水は凍ると体積が大きくなり氷は水に浮かぶことで水は特殊な物質だと教わった方もいるかと思いますが、なんとビスマスも固まると体積が大きくなります。また反磁性という性質があり、磁石を近づけるとN極を近づけてもS極を近づけても磁石から反発して遠ざかります。不思議な性質を持った金属です。

結晶とは何か?

気になるのがまずはあの複雑な形ですよね。そもそも結晶とは何かご存じでしょうか?定義としては、原子、分子、またはイオンが、規則正しく配列している固体のことを指します。

何らかの液体に、何らかの固体が溶けて「溶液」になっている物質が、冷えていくと固体になります。その時に一気に冷えると結晶が小さくて肉眼で観察できるサイズではなかったり、結晶の向きもぐちゃぐちゃでただの固まった固体になるのですが、ゆっくりと冷えて固まっていくと規則正しい大きな結晶になります。

物質は超高性能の電子顕微鏡などで観察すると小さな粒々の集まりが見えますが、結晶の形はその物質の原子、分子、イオンなどのくっつき方がそのまま拡大されて大きくなったものです。例えば、水はH2Oという分子ですが、H2(水素)とO2(酸素)はこのような形でくっついています。


これがいくつも集まるとこのような六角形になります。

そのため、雪の結晶は六角形なのです。



塩の結晶の観察をしたことはありますか?小学校の頃に四角い結晶を作ったことがある人も多いと思います。

四角いですね。塩はNaClでNa+(ナトリウムイオン)とCl¬-(塩化物イオン)が下図のようにくっついているので四角い結晶になるのです。

不思議な結晶・ビスマス

ではビスマスはどうなるかというと、下図のような立方構造なのですが、実は赤線の部分が短い結合、青線の部分が長い結合で、綺麗な立方構造ではなく歪んだ立方構造となっており、不思議な結晶の形になります。

 また角の方が結晶が成長しやすく面の成長が遅いので凹んだ形になりこれを骸晶がいしょうと呼びます。このような性質から、不思議な形になるのです。

ビスマスのもう一つの特徴・色

ビスマスのもう1つの魅力は色です。様々な色が混ざった虹色の結晶はまさにアートです。どうしてこのような色になるのでしょうか?理由は「薄い酸化膜」がついているからです。結晶ができて冷える時に表面が酸素と触れて酸化ビスマスになります。薄い膜は光の干渉という現象によって虹色に見えます。シャボン玉の透明な液体も膨らませて薄くなると綺麗な色が出たり、水たまりに落ちた油も薄く広がり虹色に見えます。また色もその膜の厚さによって変わります。ビスマスの色は酸化被膜が薄い方から順に 金、茶、紫、青、黄、桃、緑と変わります。逆に塩酸などで酸化被膜を溶かしてしまうと元の金属の色の銀色になったり、過マンガン酸カリウムなどの薬品で強制的に酸化させると金色になるようです。(参考

ビスマス結晶の作り方

ということでビスマス結晶がなぜあのような姿形がわかったところで作り方を説明しましょう。手順自体は比較的簡単です。

ビスマスのインゴットをステンレスなどの鍋やボウルに入れ火にかけ溶かします。約270℃で簡単に溶けます。

完全に溶けたら表面に膜ができていると思います。表面の酸化膜があると色々なところから小さな結晶ができ綺麗な結晶ができにくいので表面の酸化膜を取ります。

少し待つと表面に形が現れるのでそれを金属のトングなどで摘んで引き上げます。結晶の完成です。

※300℃近くあります。火傷や火事などにならないように十分に注意して実験しましょう。

より詳しく作り方を知りたい方は、こちらをご覧ください。


【なぜ結晶ができるのか?】

やってみると結晶を大きく作るのは大変難しいです。この結晶を綺麗に大きく作るにはどうしたらいいかということを考えてみましょう。

中学一年生理科で習う地学の単元で「火成岩」というものがあります。火成岩はマグマが冷えて固まった鉱物で、地表近くで早く冷え固まった岩石は「火山岩」と呼ばれ結晶のサイズが小さく結晶もバラバラの「斑状組織」をしています。一方マグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まった「深成岩」は結晶が大きくサイズも揃っている「等粒状組織」をしています。

つまり大きな結晶を作るためにはゆっくりと冷やした方がいいのです。そのため、ビスマスを入れる容器は厚い方が冷めにくいので大きな結晶ができやすかったり、冬場よりも夏場(クーラー無し)の方がゆっくりと冷えるので大きい結晶ができやすいそうです。

ただ一概には言えないので色々と試してみると新しい発見がありとても面白いです。

大きな結晶を作ってみました。

ということでそれらの原理も踏まえて大きな結晶作りにチャレンジしました。

ここからはこちらの動画を見てからの方が理解しやすいかもしれません。

まずは大きな結晶を作るには沢山のビスマスが必要なので、150kgのビスマスを用意しました。

また色々なところから結晶ができても細かくなってしまうので、真ん中1箇所から成長するように1.5mm程度のステンレスの針金を差し込みました。

そして、周囲が一番冷えやすく、冷えると急激に固まってしまうので保温のため耐熱布を被せました。こちらは焚き火用だったり、車のマフラーに巻く用のグラスウールを使用しました。

ということで実験したのですが、針金から下に結晶を成長させたいのに対し、縦長の寸胴でやったところ下の方に熱い液体が残っていてまだ結晶になる温度まで下がってないビスマスが固まらず、上手くできませんでした。

そこで、浅い鍋に変えて均一に冷えるように調整したところ、大きなビスマスができました!

温度計なども差し込み、測りながらやったところ一度270℃(融点)以下に温度が下がってから結晶ができ始めるとまた温度が270℃以上に上がって一気に結晶化が進んだようでした。

これは過冷却という現象に似ています。たまにコンビニなどで売っている「刺激を与えると急に凍り出すコーラ」が、過冷却の一例です。本当は固まる温度に到達しているものの、刺激がないことでまだ固まっていない、という状態です。ここに刺激が加わることで、一気に固まるのです。

ビスマスの結晶も一種の過冷却でできているという話もあるのですが、本当なのかぜひ一緒に秘密を解き明かしてくれる方お願いします。

また巨大結晶も一緒に探究し作ってくれる方いましたらこちらのメンバーシップ研究員で月1回オンラインの秘密実験会議や不定期で公開撮影・実験開発などもしてますのでぜひご参加お待ちしています。


※なお今回の記事の実験について当LABOでは、安全に十分配慮し臨んでいます。動画・本記事を見て実験をし、万一怪我や事故を起こされた場合、当LABOでの責任は負えません。"手順は簡単"と書きましたが高熱のものを取り扱う等危険も多いため、もし実験をする際は十分注意して、ご自身あるいは保護者様の責任のもと行ってください。

(文:市岡 元気)

実験YouTuber 市岡元気先生の舞台裏 最新記事

市岡 元気

2019年、YouTubeチャンネル「GENKI LABO」を本格始動。現在登録者数30万人超。同年、株式会社GENKI LABO設立と同時にCEOに就任。数々のサイエンスライブ、実験教室を全国各地で開催。

【主な活動場所】 Twitterはこちら  youtubeはこちら ご依頼は[email protected]まで。

このライターの記事一覧