笑ってはいられない『うんこ』実験!! 人工的に"作る"実験のウラ話

2022.06.29

 

みなさんこんにちは!市岡元気です⌬

今回は「人工うんこ」を作る実験をした時の裏話含め実験レシピの紹介をしたいと思います。きちんと理解し実験してもらえれば今年の夏の素晴らしい自由研究にもなりますので笑わず真剣に最後までご覧ください。

 

実はすごい「うんこ」の秘密

「うんこ」と言えば「うんこドリル」に「うんこミュージアム」など、子どもから大人まで大人気の話題です。私も小さい頃から「うんこ」と「うんち」はどう違うのかをずっと考えて何日も無駄な時間を使っていたなと後悔しているところです・・・。冗談はさておき、「うんこ」は子どもたちにとってその言葉や形だけ見ればただ笑って楽しむものなのですが、これがどのように作られているかをしっかり観察し考察するととても沢山の化学反応が起きていて生物がどれだけすごい、驚きの『化学反応工場』なのかを知る、最も身近な科学現象なのだと知ることができる物質なのです。ということでまずは「バーガーセットから人工うんこ作ってみた!」ご覧ください!

ハンバーガーセットを科学の力で人工うんこにしてみた!【実験】

※学習目的のため、動画にはモザイクが入っていません。閲覧には注意してください。

 

「材料選び」からこだわった理由

まずは人工うんこを作るための素材を何にするか選定しなくてはいけません。

当初は、普通のお肉や野菜をすりつぶしたものを材料にしようと思いました。しかしそれでは学校の科学の実験になってしまう・・・何か面白く伝える方法はないか、と思った私は、YouTubeで最も注目がある食べ物、飲み物は「コーラ」「ハンバーガー」だと思い、「ハンバーガーセット」を材料にしたら興味がある方が増えるのではないかと考えました。

材料「ハンバーガーセット」

また"この会社"は「食育」に関する事業も活発で、そこに繋げることもできるかもしれないという思いもありました。

うんこは何故存在する?

いったんここで、なぜ「うんこ」は存在するのかという話をします。

うんこは簡単にいえば「食べ物のカス」なのです。つまり不必要なもの。それに対する「必要なもの」は何なのかというと食べ物の「栄養」です。人間が吸収して栄養にできるものは【炭水化物】【タンパク質】【脂肪】の3つがあります。
食べ物は口から入って胃、小腸、大腸で消化吸収され、その残りが大便「うんこ」になります。口から肛門までは1本の管のようにつながっていてその途中途中で体は栄養を吸収していくのですが、食べ物がそのままの固形物では吸収できないし、液体になったとしても【炭水化物】【タンパク質】【脂肪】そのままでは物質として大きすぎて吸収できないのです。

そのために「消化酵素」というタンパク質で食べ物をより細かく分解して吸収できるようにしていく作業が「消化」ということです。よくTVなどで「酵素」が体にいいと聞いたことがある人もいるかもしれませんが、それは体の中に皆さんが持っているものなんですね。

科学実験が好きな方なら聞いたことがあるかもしれませんが、例えばパイナップルにはタンパク質分解酵素が含まれているからゼリーやグミ(ゼラチン=豚の皮から取れるコラーゲンと呼ばれるタンパク質)が固まらない・・・とか、酢豚にパイナップルを入れると柔らかくなる・・・という現象があります。つまり、体内の「消化酵素」にあたるものは野菜や果物にも含まれているということです。

食べ物を吸収しやすくするための物質が人間の中にはいくつかあって、それを手に入るもので代用できないかと考えました。そこで購入したものが以下のものです。


炭水化物(デンプン)を分解する消化酵素「アミラーゼ」の代用品→ジアスターゼ(胃腸薬で購入)
胃酸→塩酸(薬品として購入)
タンパク質分解酵素「ペプシン」→「豚由来ペプシン」(薬品として購入)
脂肪分解酵素「リパーゼ」→「リパーゼ」(リパーゼ入り胃腸薬として購入)
脂肪を分解するのを助ける「胆汁」→「胆汁末」(胃腸薬として購入)

またそれぞれの消化酵素は酸性時に働きやすかったりアルカリ性の時に働きやすかったりする性質があるので、それらも考慮・管理しながら実験しました。

実際の作業

( )で、実際の体で起こっていることを書いています。

ハンバーガーとポテトとコーラのセットをミキサーに入れ、ぐちゃぐちゃに(口の中)

ここで「ジアスターゼ(タカジア錠 タカヂアスターゼ)」を加える pH6.9アミラーゼの分泌)

袋に入れてさらにぐちゃぐちゃに(胃の中。胃の「ぜん動運動」という動きで伸びたり縮んだりして食べ物をこねまわします。)

ここで薄い塩酸を加える。酸性(胃の中で胃酸が分泌される)
「ペプシン(豚由来薬品)」を加える pH2.0で、38℃

(胃から次は十二指腸へ)
「薬 ビオスターゼ」(胆のうから「胆汁」が出て脂肪の消化) 
「胃薬 リパーゼ」(膵臓から「すい液」でタンパク質・脂肪を消化) アルカリ性

温度を保ちながらかき混ぜ続ける(小腸※約6m で栄養を吸収、約12時間)
(腸液で炭水化物(ブドウ糖)とタンパク質(アミノ酸)、モノグリセリド・脂肪酸が完全に消化 →吸収
ブドウ糖、アミノ酸は毛細血管から吸収 モノグリセリド、脂肪酸はリンパ管から吸収されて全身に運ばれる。
※小腸の壁には柔毛がびっしり生えていて、大きい物質は通れないようになっている。つまり、今まで消化してきたのは柔毛の壁を通り抜けられるくらいに小さくするため)

今回は栄養だけを吸収するのは難しいため、大腸へ行って栄養と水分同時に「吸収」しましょう

(大腸。消化の終わった食べ物から水分を吸収する。本当は腸内細菌も消化に関与していますが、今回は割愛しました。)
セロファンに包んだうんこの素を塩の中に沈めて水分と一緒に栄養を吸収
※ここでどうやって水分を吸収すればいいか、ということで・・濃い部分を薄めようとするために水が塩分の濃い部分に移動する性質=セロファンの半透膜作用を利用しました。

24時間放置(体内でも、栄養が柔毛を通って吸収されていくのに同様の時間がかかる)

そして栄養も水分も抜けた残りカスが・・・

うんこ完成!
動画では更に3日、セロファンにくるんだ状態で塩の中に放置し、「固形」に近い形になるまで行いました。

 

まとめ

ということで、作るのも、作った後も、とても大変でした・・・ラボの匂いが大変なことになりました。こんな大変な作業を毎日体の中でやっているのですね。匂いも外に一切出さず、本当に生物の体は素晴らしいなと感じました。
実際の体では、この状態に加えてさらに腸内細菌の発酵なども加わりもっと細かく分解しているのです。次回はその辺も取り入れて実験してみたいと思っています。

あるアーティストがこの化学反応を機械で表現していましたが、教室一杯くらいの装置を使わないと消化しきれなかったようです。
それを考えても本当に、人間の体はコンパクトにまとまった「大化学工場」です。

こうして食べ物は僕たちが生きていくためのエネルギー源になっているのです。さらに体の状態が「うんこ」に現れるので、きちんと栄養や水分が吸収されていないと色や形がいつもと変わります。つまり、その状態を見ることで体調管理にもつながります。毎日観察してみていつもと違う状態だったらインターネットで調べてみてください。

このブログだけでは伝えきれなかったかもしれませんが、こんな素晴らしい「うんこ」について知らない方も多いかと思ったので、ぜひ最も身近な化学について興味を持ってもらえればと思い取り上げさせていただきました。

もう「うんこ」が素晴らしすぎて笑ってはいられなくなりましたよね。

実験YouTuber 市岡元気先生の舞台裏 最新記事

市岡 元気

2019年、YouTubeチャンネル「GENKI LABO」を本格始動。現在登録者数30万人超。同年、株式会社GENKI LABO設立と同時にCEOに就任。数々のサイエンスライブ、実験教室を全国各地で開催。

【主な活動場所】 Twitterはこちら  youtubeはこちら ご依頼は[email protected]まで。

このライターの記事一覧